武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

地下道の鳩

2022/11/5-2023/1/15 で読了。
これのハヤカワ文庫版を買った。

解説で手嶋龍一さんが「かつてスパイであった作家の回顧録が面白くないはずがない」と書いてるとおり。
機知と皮肉に満ち、高い倫理観を持って書かれた格調高い文章で、ものすごい体験談たちが語られる。アラファトに会いに行ったとか、ロシア大使館に呼ばれてプリマコフと会食したとか。
壮大で刺激的で面白かった!

ジョン・ル・カレが諜報の世界に入り、作家として大成したのは、天才(?)詐欺師であった父ロニーの存在によるところが大きい、ということがわかった。むしろそれが唯一にして最大の要因かもしれない。
本人は「MI6といっても私は下っ端ですぐ辞めた、そんなに期待しないで」みたいに言ってたことも知った。謙遜もあるのかもしれないが。

印象に残ったところメモ

さすが誤字脱字などは一切なし。

  • p.38 エリートの心のふるさとであるMI6
  • p.41 MI5による的確な文章指導
  • p.48 名前に“サラ”または“イスラエル”を含めることを義務づけた
  • p.60 専門的な関心分野w
  • p.108 勇気の限界
  • p.268 本物のゴミだよw
  • p.364 「牢獄のなかで、私はもう見捨てられた人間ではありませんでした」最も感動したページ。作家冥利に尽きるやろな
  • p.390 探偵を2人雇って自分の家族について調べさせる。すごい試み
  • p.413 「無限の敬意とともに」w
  • p.423 イギリスの善き妥協の伝統
  • p.433 小説家を志す人へのアドバイス