武書房

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故郷/阿Q正伝 (光文社古典新訳文庫)

2026/7/11 - 8/14 でおもに移動中にゆっくり読了。
honto My本棚によると 2018/7/22 に買ってた! 8年も積んでたのか……

「故郷」は中学の教科書にあった。ほとんど忘れてしまったけど、ルントウ、ヤンおばさんらへんだけは覚えてた。
これはそれとはかなり印象が違う「新訳」。訳者あとがきによると、魯迅の文体(屈折した長文)を可能な限り日本語で再現しようと、domestication ではなく「日本語訳文の魯迅化 (Luxinization)」を試みたらしい(p. 339)。
作家への強い敬愛がなければできない貴重な仕事。魯迅が知ったら喜ぶでしょうね。

読書メモ

吶喊

孔圧己

いわゆる「弱者」おじさんが虐げられる。ヒューマラスに描かれてるがつらい。

故郷
  • 51 ああこれ国語で読んだな、でも文体は違うな、とわかった。
  • 64 閏土(ルントウ)、「六男」までいる! すげーなw
  • 66 さらに娘も!
  • 66 黛色(たいしょく)
阿Q正伝
  • 71 名正しからざれば、則ち言順わず。孔子も「名前重要」言ってた!
  • 87 シラミは歯で潰すのか!
  • 112 士別れて三日なれば即ち当に刮目して相い待つべし
    これが日本の「男子三日会わざれば」になったのか。
  • 122 阿Q、アル中のどうしようもないボンクラ
  • 145 So it goes. 的諦念、無気力
  • 148 酷薄な大衆! まるでSNS時代の野次馬、人の悲劇もコンテンツ扱い。
端午の節季
  • 151 性と習い=生まれと育ち
あひるの喜劇

微笑ましい短編。

  • 166 芝蘭の室に入り、久しくしてその香を聞かず
    「灯台下暗し」っぽいと思ったけどだいぶ違うか。

朝花夕拾

お長と『山海経』

これもほのぼの子供時代エピソード。

追想断片
  • 213 関帝廟(かんていびょう)
藤野先生
  • 227 「老トルストイ先生がロシアと日本の皇帝に手紙を書いており」!
范愛農
  • 232 ファンアイノン、ちょっと「フォン・ノイマン」っぽい
  • 247 范愛農、妻子おるんかよその人生で!!w

付録

自序
  • 252 奇妙な処方箋 これも「野生の思考」の一例やな。
  • 253 啓蒙の大志を抱いてた若き魯迅。
  • 254 医学から文学へ。ゲバラの文学版のよう
兎と猫
  • 268 口碑(こうひ)
狂人日記
  • 270 迫害狂 いわゆる「被害妄想」なんでは?→訳者あとがきに詳説あり
解説
  • 297 上海で元教え子と同棲して贅沢生活。ええご身分やんけ!w
  • 298 検閲対策でペンネームを次々変えたため「その数は生涯で140にも上った」!
  • 300 魯迅は芥川の影響を受けていた
  • 311 長谷川如是閑 すげえ名前w 本名「萬次郎」らしい。
  • 311 芥川龍之介、魯迅による自著の中国語訳を見て「自分の心地がはっきりと現れていると喜び驚い」た。良かった!
  • 314 魯迅は大江健三郎、村上春樹にも影響を与えた
年譜
  • 323 エッセー集『熱風』。元祖ジブリ?
訳者あとがき
  • 333 「標点符号」を魯迅、銭玄同らが中国語に積極採用
  • 339 (新訳では多くの文章が長く難読になってる、)「しかしこれが魯迅なのです」!

ユダヤの商法(新装版)

2026/8/11,12 で読了。妹が図書館で借りて面白かったという本を一晩実家に持ってきてくれてたので、その間に。
なんでこんなん借りたんwと戸惑いつつ、まあすごい人やろうしなってことで読んでみた。

1972年の本が2019年に復刊されたもの。
現代の価値観から見るとだいぶ叩かれそうな主張も多い。特に女性を平気でモノ扱いするところとか。

もしここに書かれてるユダヤ人像がすべて事実なら「そら世界中から嫌われるわw」と思った。快楽を恥ずかしげもなく追求、そのためには手段を選ばず暴利を貪る(←この手腕が卓越してるってことで本書で紹介)、自分らの非道を正当化するのに迫害された過去を延々利用する。どんな「宗教」やねんw
実際にはそんな単純なものではないんだろうが。
当時の日本はいまよりもっと「ユダヤ人」が知られてなくて「悲劇の天才民族」ぐらいの理解で、庶民の興味を引くネタであった、というのもあるのかも。調べたわけじゃないので予想だが。

やたらと「5000年の歴史」を持ち出して黙らそうとするところも浅くてうざいと思った。んなもん人類史全体から見たらごく最近の出来事やんけ。たった5100年前まではなかった新興宗教やろがいと。

てことでかなり眉唾で読んだが、そういった時代背景の違いとかも含めて面白かった。
商人としては間違いなく偉大な天才であったろうから、学べることも多いと思う。

読書メモ

  • 16 78:22 の宇宙法則 なるほど!
    ……と思うが、それ「貸したい人:借りたい人」の比率に関係あるのか?
  • 33 日本の金庫の危険さをブツブツ こら嫌われるわユダヤ人w
  • 39 ハンバーガーをこれから千年食べ続ければ日本人も色白の金髪人間になるはず
    ならんでええわw
  • 40 nibbler
  • 43 ユダヤ人のメモ=タバコの空き箱w
    「大事なことはメモしなさい」という話。ユダヤとか関係なくいまでは常識になってる
  • 50 3か月投資してダメならあっさり引く
  • 56 factor 代理商
  • 58 バンザイ屋
  • 71 出社後1時間は dictate = 返信(タイピング)時間で割り込み禁止。
    いい仕事スタイルと思うが、さすがにインターネット後は変わってるか?
  • 79 大阪弁では外交官になれない……まだマイノリティやった時代か。
  • 81 外交官を断念するの早っw
  • 90 関(せき)=関東と関西の間、日本の中心
  • 101 美談ぽく書いてるけど山田電気産業助かってないやん!
  • 105 客はスーパーで買い物するようにロウ人形の周囲を歩きまわって喜んでいる。
    「客」呼ばわりw いまなら叩かれそう。(この本全体的にそうだが)
  • 108 安売り競争は死のレース
    薄利多売を酷評。でもその30年後ぐらいにハンバーガー半額とかしてたよな

  • 118 【アラビア数字と角度】これはなるほど!

  • 120 ユダヤ人は食う(贅沢な晩餐をとる)ために働く

  • 125 金持ちが偉い……そこまで拝金主義なの? そんな宗教ある?? 全然徳ないやんw
  • 129 3歳児を親が騙す危険な教育
  • 134 50万ドル=1.7億円の時代
  • 135 快楽を貪るために独身を貫く それ滅びるやんけ民族w
  • 136 ヒュー・ヘフナー PLAYBOY 創刊者。
  • 149 ドイツ人は2週間に1回、フランス人はそれよりも少ない回数しか入浴しない
  • 150 割礼は「快楽を人生の目的とする彼らの生き方から出たものであるともいわれている」
  • 153 ベニスの商人「ユダヤ人を迫害するために書かれた愚劣きわまりない劇」
  • 153 ×ライバル ○ラバイ おい!
  • 164 商人は金を作ろうと思ったら、まずヒマを作らなくてはダメ
  • 177 北野中学理事会、藤田案が70:1で否決w
  • 180 税金で勉強して公務員になるのは寄生虫
    浅はかすぎる暴論。公務員も納税者やし、価値を生み出してるやろw

  • 192 「金と女は同じである。(中略)そうなりゃ、必然的に儲かる」具体的にどうすれば?

  • 193 中学からの同級生、共産党の松本善明氏を藤田田が応援
  • 198 ヒットラーがアウトバーンを作らせた
    これ有名なデマよな。当時はまだバレてなかったのか
  • 200 検疫官 当時は飛行機に乗り込んできたらしい。

  • 217 ニクソン・ショック前後でユダヤ人はボロ儲け
    1ドル360円時代にドルで円を買っといて、308円になったらドルを買い戻す

  • 224 椀飯振舞 「おうばん」が正しかったとは!
  • 225 1ドル=270ウォンからウォン切り下げて1ドル=30ウォン、はおかしい。400 あたりの誤記では?

  • 229 1917年、横浜の帝国ホテルにユダヤ人たちが一時避難。関東大震災後に神戸へ。

  • 230 WW2中は神戸~軽井沢、戦後は東京と神戸。まさに流浪やなぁ
  • 231 教会から車で15分圏内に住むルール。信仰強い
    その信仰と金儲け・快楽追求が両立するのが不思議。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は1904年とかなので、それとは違う理屈のはず。金儲けは身を守るため?

  • 235 銀座三越のマクドナルド一号店。『コーネリアス400』が煙を出して壊れた!

  • 245 「男はそれ(女性客)につられてくるだけで、(ハンバーガーが)高いか安いか見当もつかないはずだ」w
  • 248 きらい(苦手)なものを売れ。「私が男である限り、女物は商品として冷静に眺められるからだ」

夕凪の街 桜の国

2026/7/26 で読了。
honto の「My本棚」によると 2018/8/22 に買ってたが、ずっと読む勇気が出ず(?)。今日やっと読めた。
2004年の本か!

期待以上にすばらしかった。
スクリーントーンを一切使わない優しく美しい絵。

こうの史代先生、こちらこそ、素晴らしいものを描いてくださってありがとうございます。
人類必読の漫画!

カバーの下の版画風の絵もいい!
皆実、旭、フジミは広島の地名から取ってるな。

読書メモ

夕凪の街

  • そういえばおかん(1951年生)も若いころは服を自作してたのよね。
  • 草履も!!

桜の国(一)

  • 歌で呼び合う仲、素敵

桜の国(二)

  • 77 突然大学の数学w

解説

ご本人による丁寧な解説付き。

  • イサムノグチのやつ、あれか。
  • 皆実の職場、わりとうちに近い!

あとがき

  • 「貴方にいつかこの作品が出逢い」
    そうか、作品が出逢うのか。

小田嶋隆と対話する

2026/7/19,20 でするっと読了。
出版されてわりとすぐ買ったと思うが、小田嶋さんの不在を認めるのがつらく、ずっと読む気になれなかったのだ。

小田嶋隆と対話する

小田嶋隆と対話する

Amazon
小田嶋さんのツイート (https://x.com/tako_ashi) に対し内田さんがコメントを書いていくというスタイルの本。
なので Twitter(「現X」ww)の延長な感覚で気楽に読める。
気楽に読めるが、Pieces of 警句!の数々に唸らされる。

亡くなられてもう4年も経ったのか……
やはり「惜しい人を亡くしてしまった」という思いがより強くなった。ご存命ならどれだけ鋭く愉快な批評を読めたことだろう。
とはいえ、日米社会のあまりの劣化ぶりに呆れて書く気が失せていたかもしれない。「現実が常に我々の想像のはるか斜め下に落ちていってるので、もはやネタがネタとして成立しない」みたいなことで。

読書メモ

はじめに

  • 12 痕跡をまるごと消せばいい
  • 12 最初の「小田嶋隆論」はファンレターのつもりで書いた
  • 25

    私は「論文」や「研究」というものは人間の知性を集団的に向上させるために書かれるものだと考えている。だから、結果的にそういう効果をもたらすなら、それはどんな形式のものであっても構わないと思う。

2020

  • 28 「こうらくえん」アナグラム
  • 31 あらゆる人間は、程度の差はあれ未成熟である
  • 39 泣けてくるほど面白い。
  • 41 「(中略)私のいささかガードの甘い交友関係のいくつかについて、小田嶋さんははっきり嫌悪感を示していた」
  • 55 敵を作らない生き方をしていると、いつしか態度のデカいお得意様に引きずり回されるだけの人間になる
    小田嶋さんもそういう経験があったのか。
  • 74 石原慎太郎は「有害な男らしさ」の具体例として有益だったw
  • 76 安倍=正直なうそつき
  • 77 (翻訳エンジンが進歩した影響で?、)海外メディアの日本語ページの品質が劇的に劣化した一年

2021

  • 86 ↓見習いたいw

    個人的には「才能は才能として認識されている時点ですでに報われている」と考えている。つまり、オレはすでに報われているので、これ以上は求めない。

  • 91 ↓ほんまそのとおり。「経歴詐称」も同様やね

    学歴詐称は、詐称をたくらむ動機のみみっちさと、詐称が可能だと考える現実認識の甘さの両面から、社会的に葬ってかまわない人間のやりざまだと思う。

  • 94 教養があれば、みじめな貧乏人にならずにすむし、下品な金持ちになることもない
  • 95 あらかさま……私も「はこびる」と言ってた人に教えてあげたことあるw
  • 105 小田嶋さんが政治家の劣化に驚愕し、「言葉を失」った2021年。2026年ならどうなっていたか……
  • 107 ↓覚えておこう。たしかに一つ覚えで「印象操作」言う奴おるよな。

    「レッテル貼り」がレッテル貼りで、「ダブルスタンダード」がダブルスタンダードで「印象操作」が印象操作であるということは、何度強調しても足りないと思っている

  • 110 「お気持ち」という言葉を使う人間は感情を軽蔑している
  • 110 「傾城の恋はまことの恋ならで」……江戸時代から変わらんねw
  • 115 内閣総理大臣の無能は、文字通り「国難」そのものとして受け止めなければならない。
    ガースー「ですら」そう言われていた。
  • 117 主語の大きさだけを機械的に測定して文句を言う態度はばかげている。
  • 122 金棒曳き
  • 123 マッカーシ―(ろくでもないチンピラ野郎)対応という実害が出た
  • 129 デイヴィッド・グレーァ― ← Graeber でした
  • 131

    「バカな方の太郎がまた何か言った」という情報を得たのだが、どっちだ?

  • 133 「維新アタマ」という呼ぶ 引用ミス? 手打ち?
  • 136 「ガチャ」を回したのは親という話
  • 137 アベスガの8年間で八百長会見化した
  • 144 whataboutism はソ連が発明したそうな。

2022

  • 158 「窃盗」は「不適切物品入手」になるw
  • 167 客分
  • 175 「リアリスト」ぶってる奴らは「理想や正義を追求し実現する困難から逃避して、世の中の不公正さや残酷さを放置している意気地なし」
  • 177 「いった」「おこなった」が紛らわしいという話。
    私は「行う」という単語を使わないが、いまの若い子らめっちゃ使うね。ハリボテ文のパーツに便利と思われてるんやろね。

おわりに

  • 184 『革命的半ズボン主義宣言』読んでみよう。

反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

2015/5/16 に丸善で買ったが、ずっと積んでた。
2026/7/16-18 で一気に読了。

驚くほど面白かった! 全編通して。

内田先生の ↓ はわりとすぐ読んだのだが、 takeshobo.hatenablog.com 森本先生のほうはより学術的・専門的な感じがして、「難しそう」と敬遠してしまってた。
読んでみると全然そんなことはなく、夢中になってすいすい最後までいけた。
やはり現代の状況に直結してる歴史・理屈を知れるのは面白い。

「反知性主義」と言うとつい焚書坑儒・文革的な、愚かで近視眼的な権力者(またはそれを妄信する衆愚)による狼藉・蛮行、のようなものを想像してしまうが、アメリカにおけるその意味合いはかなり違っていた。
むしろ「知性が権威化」することを警戒・監視するという、かなり知性的な態度のことであった。こんなに「ポジティヴ」なものだったとは。
もちろん全面的に称賛すべきことばかりではないのだろうが。なんせ「熱病」なので。

で、2026年の現代ではどうか?
残念ながら状況はかなり悪くなってるのではないか。「知性を敵視してる奴らが権力を独占し続けてる」ような。

読書メモ

はじめに

  • 5 有意義で愉しい議論!
  • 6 現代社会を読み解くための道具立て

プロローグ

  • 24 「申命記」30章15~18節。「ご利益宗教」的な要素
  • 24 キリスト教はアメリカ化、土着化した

第一章 ハーバード大学 反知性主義の前提

  • 31 知性主義が先にあった
  • 32 ピューリタンは異常なほど高学歴
  • 34 ハーバード大はピューリタンが牧師養成のため作った。1636年、プリマス入植からわずか16年後
  • 45 浩瀚(こうかん)
  • 50 もっとも長い礼拝では、1625年に9時間も続いたという悲惨な記録があるw

第二章 信仰復興運動 反知性主義の原点

  • 62 禅の啐啄
  • 70 ジョージ・ホイットフィールド、「メソポタミア」の40段階クレッシェンドで聴衆を感動の渦に巻き込む! 催眠術師やん
  • 75 巡回伝道は炎上商法的な要素もあったのね
  • 83 舞台のコーラスダンサーの最前列の若い娘に心を奪われた亭主を見ている古女房
  • 85 学者・パリサイ人への反発心が反知性主義の源流
  • 87 enthusiasm 当時は悪い意味だった。日本語でも「こだわり」とかあるな。
  • 89 「詐欺師」の伝統……(一部の邪悪な)YouTuber とか参政党やん!
  • 89 con man
  • 89 PAPER MOON 昔借りて観たはず。覚えてないがw

第三章 反知性主義を育む平等の理念

  • 97 トマス・ジェファソン、素行はだいぶクズ
  • 101 「身の程をわきまえた」応分の振る舞いをするべき……『菊と刀』の日本やん!
  • 102 政治 > 宗教。めっちゃ世俗的で面白い状況
  • 105 アナバプテストは幼児洗礼廃止を主張
  • 107 宗教改革左派……まだ「左翼」という言葉自体ができる前やのに適用、面白い。
  • 107 ミュンスターの惨劇 キリスト教も十分狂信的でイカれとるよな。
  • 109 まず教会ができ、それに沿って国ができた
  • 110 迫害コンプレックス、アメリカでは共感を得やすい。日本でも判官贔屓という言葉があるな。
  • 112 英雄になるため進んで死刑にされに戻ってくるクエーカー、たいがい狂っとるやん。特攻隊なみに
  • 113 新渡戸稲造もクエーカー!
  • 116 笞刑(ちけい)
  • 118 政教分離は、各人が自由に自分の思うままの宗教を実践することができるようにするためのシステム

第四章 アメリカ的な自然と知性の融合

  • 131 フライ・フィッシング、礼拝としての釣り
  • 132 自然に没入するアメリカ式キリスト教は東洋的アニミズムと重なる
  • 141 反知性主義の本質は、このような宗教的使命に裏打ちされた「反権威主義」である。
    ずっとその姿勢を維持できればいいんだが……
  • 142 ソローがガンディーにも影響してた!
  • 143 ソローはエマソンの資産に寄生してたw

第五章 反知性主義と大衆リバイバリズム

  • 149 「メソジストって何?」「読み書きのできるバプテストさ」……DVD版ではカットされたジョーク
  • 150 ルターは流行歌のメロディーを讃美歌に流用
  • 153 「福音主義」は本来「プロテスタント」と同義
  • 154 民主党のロバはジャクソン大統領に由来
  • 156 町の人びとは「あの悪党(ジャクソン)が大統領になれるなら、誰でもなれる」と噂した。
    しかし独立戦争で家族をすべて失うという過酷な生い立ち。波瀾万丈やね。
  • 162 権力の自己増殖を防ぐことは、反知性主義の使命である。反知性主義は、ここでは社会の健全さを示す重要なバロメーターとなる。
    ジャクソン時代のアメリカは良かったのかもしれない。
    現代は……知性・専門知を軽視しつつ、権力は自己増殖し続ける、最悪の組み合わせになってるのでは?
  • 162 猟官制 (spoils system)
  • 168 ハーバードがジャクソンに名誉博士号、にアダムズ激怒
  • 170 イギリス人は comic、フランス人は wit、アメリカ人は humor を好む
  • 172 反知性主義には、相当の知性が必要なのである
  • 177 フィニー、意外にも科学は好き。「神が自然という書物を書いた」ので。
    反知性主義は単なる知性への軽蔑と同義ではない。それは、知性が権威と結びつくことに対する反発であり、何事も自分自身で判断し直すことを求める態度である。
  • 179 オウム真理教がやってたのは奇跡ではなく呪術=奇術=magic
  • 181 フィニーは神をビジネスパートナーに見立てた
  • 182 彼(フィニー)は、女性や黒人の社会進出を積極的に応援した。オベリン大学もすごい。

第六章 反知性主義のもう一つのエンジン

  • 197 「よきサマリヤ人」聖書自身に含まれている反知性主義
  • 200 宗教は庶民を統治するためのアヘン
  • 206 ムーディ&サンキーの伝道ツアーによる「売上」がすごい。でも私腹を肥やしてないからいいな
  • 208 むしろ逆で、巡回セールスとは巡回伝道をモデルにできあがったビジネス形態なのである
  • 214 今は十分な暮らしをすることできている この本では珍しい脱字。

第七章 「ハーバード主義」をぶっとばせ

  • 228 破天荒 これは誤用でしょう!
  • 245 「アメリカン・ドリーム」の体現者たちは自信がないため承認欲求が強かった。虚しいな
  • 252 サンデー「もしこの国のやり方が気に入らないなら、出て行ってもらえ」
    いまの排他主義者も同じこと言っとるやん!
    「彼の晩年の言葉は、まさにそのような異議申し立てから始まったこの国(アメリカ)の伝統を正面から否定するものとなっている」
  • 252 ギデオン協会って男限定なのか
  • 258 「道徳」をゴリ押し売ってきたカリスマ伝道者のドラ息子らが没落。皮肉よのう

エピローグ

  • 260 犯罪者には「知能犯」はいるが「知性犯」はいない
  • 260 インテリ、「知識人」は左翼知識人を指す言葉として登場した
  • 263 アメリカの反知性主義は「知性主義」と双子の片割れ。知識人が相対的に強かったので。
  • 265 アメリカだけに強く見られる反進化論の風潮 たしかに!
    「彼らは、自分の子どもたちに何を教えるべきか、ということで連邦政府から指令を受けるのを好まない」

あとがき

  • 273 まさかの小田嶋さん登場!! 泣いてまう。
    小田嶋さん自身の文章で同級生というのは知ってたが。
  • 274 剣道がオリンピックに参加しない理由――剣道は「勝ち負け」ではないからである。
    やっててよかった!!
  • 276 反知性主義の「正体」。たしかに全然理解が変わった。
  • 最後まで素晴らしかった!

読書について

2026/7/5-11 で読了。

故・山崎元さんが愛読してると知って 2023/5/27 購入。
たしかにめちゃくちゃ面白かった!
ためになるかはわからんがw

たぶん『自殺について』ぐらいは二十代で読んだと思うが、ほぼ覚えてない。『意志と表象としての世界』はもちろん未読。
これは哲学書というよりは毒舌エッセイという感じで読みやすかった(新訳のおかげもあると思う)。

ショーペンハウアーがそこまで後世に影響を与えていたことを寡聞にして知らなかった。凄い天才やったんやな。
ヘーゲル一派をここまで酷評してたこともw
「最近のイキっとる奴らムカつく! アホのくせに」全編このトーンで最高w
これ同時代人はどう受け取ったんやろ?

読書メモ

自分の頭で考える

  • 9 考える脳みその持ち主はめったにいないw
  • 9 意外にも「読書のすすめ」でなく「多読の戒め」を説く。
    読書を受動的な・惰弱なものと見なしてる。いまで言うショート動画やAI丸投げみたいなもんか。
  • 15 思想家は本・知識を吸収して使いこなせるから偉いという話
  • 26 騒音はこの上なくおぞましく、無益だw

著述と文体について

  • 33 スペインのことわざ「名誉と金は、ひとつの袋におさまらない」
  • 33 ドイツ国内でも国外でも、今日の文学は悲惨をきわめる
    19世紀初頭ですでにそう思われていたとは。
  • 34 ジャーナリスト=ジャーナル(日々)の糧をかせぐ人=日給取り!
  • 37 真の思索家タイプや正しい判断の持ち主、あるテーマに真剣に取り組む人々はみな例外にすぎず、世界中いたるところで人間のクズどもがのさばるw
  • 43 素材と表現形式。文学は後者を重視すべき
  • 44 またスペインのことわざ「どんな愚者でも我が家にいれば、他人の家にいる賢者より事情に明るい」
  • 49 書きたい気持ちにまかせてペンを走らせる詐欺まがいの売文行為w
  • 51 何ひとつ悪とみなさない人間にとって、善もまた存在しないからだ
  • 52 信じがたいことだが、匿名の陰で身の安全がはかれるとなると、連中は無礼きわまりなく、ひるむことなくペンでどんな悪事でもくりだす
    現代でもそうよなー。
  • 56 匿名批評家に言及するときは(中略)「しかじかの場所にいる卑怯な匿名の輩」
  • 56 オデュッセウスのウーティス (Nobody)
  • 57 夜のフクロウ 知的生産者の比喩。
  • 62 その名をあげるにも値しない多数のみじめな愚か者たちの哲学の教科書w
  • 62 ヘーゲル定期通信、通称《学術研究年鑑》
  • 63 誰にも理解できないように書くことほどたやすいことはなく、これに対して重要な思想を誰にでも理解できるように言い表すことほど、むずかしいことはない
  • 64 ホラティウス「正しく書く秘策は 賢くあること」
    身も蓋もないw
  • 68 「誘発する」という曖昧表現が当時流行ってたらしい。「連中のお気に入りの手口」w
  • 68 ドイツ人はものを書くときは愚鈍を見習い、生活全般なら不作法をすぐさま見習いたがる
    自国民卑下がすごい。どこの国もそうなのかも?
  • 69 思考停止な紋切型の言い回しを敵視。オーウェルにも通じる言葉へのこだわり!
  • 71 ふつうの言葉を用いて、非凡なことを語りなさい。真理やね
  • 74 ヴォルテール「形容詞は名詞の敵だ」
  • 78 かれらのような脳みそには微妙すぎて弁別できない AIの回答を理解してない現代人のよう。
  • 79 「こうした無知な三文文士たちはドイツ語から現在完了と過去完了を完全に追放してしまった」!
  • 80 ドイツ語はほとんど最低の野蛮語になりさがるw
  • 81 所有格が奪格に取って代わられつつあるという話。これはドイツ語にとって貴重な資料であろう。
    英語はどっちも現代に残ってるが、使い分けが非ネイティヴには難しい。
  • 82 腐ったおフランス趣味w
  • 83 形容詞が副詞的に使われるのは日本語でも「すごい」があるな。
  • 87 「言葉を簡略化する」大量の実例。執拗なほどだが、Newspeak 的傾向に危機感があったのだろう。
  • 94 talented という英語は当時はなかったのか。言葉は生き物。
  • 94 「ドイツ人は何事においても秩序・規則・法則を厭い」意外!
  • 96 ヘロストラトスのような売名的犯罪 実際有名にはなってるな。
  • 101 ドイツ語以外の主なヨーロッパ言語はギリシア語やラテン語の方言にすぎない
    強烈な母国語愛。
  • 103 (かっこつけてコンマを削るせいで)どの文章も二度読まねばならなくなる たしかに。
  • 107 プラトンはさまざまに修正を加え、『国家』の冒頭を七回も書き直したといわれる
  • 111 「現代」生活は猛スピードで進む 現代より遥かに「遅い」時代だったであろうに! 人類あるあるか。
  • 114 まるで破られた手紙の前半分のよう
  • 117 アリストテレス「ずばぬけて偉大なのは、比喩を見出すことだ」
  • 120 言語(≒論理)原理主義者やな。私も共感するが、大半の人類はそうじゃないんよねw
  • 121 これは国民性に由来する。ドイツ人ほど自分で判断し、自分の判断にしたがって断罪することを好まない国民はいない
    日本人と似てるような。ショーペンハウアーの自虐もあるのかもだが。
  • 121 知力はある種のとげとげしさ、鋭さをはらみ
  • 133 本物の学者は、……強烈なエリート意識。
  • 134 気取ったフランス人の国民的うぬぼれは何世紀も前からヨーロッパじゅうのお笑い種になっているがw

読書について

  • 139 現代の価値観からは意外な読書批判
    →暇潰し的に乱読しても何も残らんよということ。
  • 142 ヴェネチア・チェーンの職人は三十歳で失明!
  • 143 「ペルシア王クセルクセスは、(中略)百年後にはこの中のだれひとり生きてはいまいと考え、涙ぐんだ」俺やん!
  • 147 全員、ひとつの同じ鋳型からつくられたのだろうか
    わかるw。「量産型」みたいなやつね
  • 152 哲学は世界を支配する
  • 161 俚諺(りげん)

解説

  • 165 すごい英才教育受けてる! 9歳でフランスに置いてかれる。
  • 166 母ヨハナは父の19歳年下!
  • 168 ショーペンハウアーはゲーテと大親友になった。ゲーテはカントも愛読!
  • 170 「お母さんの本がこの世から消え去っても、ぼくの本は読み継がれます」すごい母子喧嘩!
  • 173 60代で「名声の喜劇」。存命中に評価されてよかった。(でも生涯独身か……)
  • 183 自身の熱烈なファンであるヴァークナーに対し「この人は音楽をあきらめたほうがいい」w
  • 184 ニーチェも「あたかも私のために書いてくれた」かのように感じるほど衝撃を受けた!
    トルストイも。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

上 2026/5/31 - 6/15、下 6/18 - 7/4 で読了。

2021年末に邦訳が出て以来、「とにかく今すぐ読め! 何の前情報もなしで!」的激賞を Twitter で見かけることが散発した。
しかし本棚の単行本フロアはもう一杯。文庫本が出たら買おう……と思ったものの、一向に文庫になる気配はない。そんなに人気なのに?
この本は何らかの理由で早川書房が「文庫本を出さない」方針としているのでは?と邪推しつつ、ハヤカワのサイトを確認して落胆するのが恒例行事になってた。

それが今年、映画化するってんでやっと文庫本が出た!
ので発売されてわりとすぐ、2026/1/24 丸善で買った。
しかし。今度は公私ともに激動、という日々が続き。なかなか読みはじめられずにいた。
もろもろ(部分的に)落ち着いて、6月ごろからやっと読書生活に戻れたのである。

さすが各界の方々が絶賛してるだけあり、面白かった。
引き込まれるし、感動する。すごい発想力!と思う。
主人公の記憶が徐々に戻っていくという仕掛け、逆アルジャーノンとでも言うのか。(あれもハヤカワやったな)
全編通して「物理」!と感じた。観察、仮説、実験!の繰り返し、教育的。「生物」もあるか。

そう、物理。ちゃんと理解するには(高校)物理・化学の知識が要るだろう。
と言ってる私も下巻 p.159 の下記はまだ納得できてない。中心に近付くほど重力「強くなる」のでは?

いまはコントロール・ルームより上になっているラボの重力は下より小さい。遠心機の中心により近いからだ。

その前 p.156 「遠心機のなかで感じる力は半径の二乗に反比例する」これもわかったつもりで読んでたけど、遠心力って下記どっちかのはず。

  1. 角速度が一定の場合 F = mrω2
  2. 速度が一定の場合 F = mv2 / r

反比例と言ってるので 2 に該当しそうだが、r2 じゃないよな?
r2 に反比例するのは万有引力。ん~、私が知らない法則がまだあるのか?

PHM号の形は最初から(上下巻ともで)図解されてるものの、「それはどういう形?」とモヤる場面もちらほらあった。エアロックと「トンネル」の繋ぎ方とか。
私が空間描写の読解が苦手なだけなのかもしれないが。読者はみんなちゃんと理解できてるのかしら?

ともあれ、豪華娯楽超大作であることに変わりはない。
不屈の精神力。フィクションとはいえ、凄い。人はここまで勇気と責任感と忍耐を持って生きられるだろうか?

あとこの版はカバーが「二重」。外側は映画の宣伝版、内側が本来の絵のやつ。こんな売り方もあるのかw

読書メモ

  • 41 振り子を自作して実験。物理の教科書のよう!
  • 47 突然の「アマテラス」!
  • 76 突然「セカイ系」っぽく!
  • 123 えーっ投棄すんの?!
  • 147 LEDは、最初は絶対にまちがった向きに留めてしまうw
  • 157 電子レンジの仕組み。物理の教科書のよう!
  • 202 ミーティングなし。気になる雑音いっさいなし。至福の時
  • 240 ロシア製EVAスーツを着る描写、すごいリアリティ。これは実際着てみたのか?
  • 260~ リスクを減らすために極限まで簡潔にする。正しい
  • 274 ignoble イグノーベル賞の元ネタか
  • 277 Excel「充分に実証済みの既製品」w
  • 293 異常な状況でも退屈することはある。
  • 304 小さいエンジン1009基で冗長性・安全性・信頼性を確保。
  • 322 任天堂パワーグローブ
  • 365 生物有機体はすべからく、なんらかの形でエネルギーを補給しなければならない
    よくある誤用?と思ったが、「しなければならない」が「当為」なので合ってるか。
  • 375 共通のボキャブラリーを数千語にまで増やした 優秀すぎる!
    実験や勉強の話のようにも思える。
  • 395 いわゆる最高にエモいところ
  • 425 クソの山に突っこんでバラの香りをさせて出てくるw
  • 431 オレンジ色がどんな色か、おなじ意見を持つ気候学者を二人見つけるのもむずかしい
  • 435 ミツコウモンナマケモノw
  • 438 放射線についての説明、わかりやすい

  • 22 採血で気分が悪くなる 俺か!
  • 26 「重要ではない言葉だ」w
  • 31 コロンブスが(すでに大勢の人がいた)北アメリカを発見
    SFはこういう啓蒙性もあっていいな。
  • 44 「それがロシア人でありながら、同時にしあわせでもいられる唯一の方法だ」
  • 54 エイドリアン!
  • 72 性的関係を開始
  • 109 地球人が相対性理論に気付けたことがすごいということを示唆している。
  • 119 ビートルズは当然「クラシック」扱いか
  • 122 大変すぎる内職。思考と試行、実践が連続する大長編や
  • 136 輪っか・ウインチの仕組みがすごい。これは動画で見たい!
  • 156-159 遠心力、重力の関係に悩んだ(上の本文参照)
  • 197 思考速度が同じなのはなぜ?という非常に面白い問い。
  • 261 JAXA!
  • 285 碇シンジ的状況
  • 345 親友との別れ。泣けてまう!
  • 363 ここまで来てもまだ波乱万丈。事件密度がすごい。
    でも実際の宇宙飛行もこういう(生きるか死ぬかの)トラブルの連続なのかも?
  • 388 受け入れがたい悲劇に直面した時の「吐き気」。今の私ならわかる
  • 美しいラストシーン!
謝辞
  • 435 簡潔ながらいい謝辞。
解説
  • 446 ここには伝統的な(オールド・スクール)SFのファン(わたしのような)が愛するあらゆるものがある