武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

90年代サブカルの呪い

2019/6/3読了。月曜の夜に読書できるなんてありがたい。

90年代サブカルの呪い (コア新書)

90年代サブカルの呪い (コア新書)

 

この本を買ったのは、最近の津原泰水さんの騒動に関するこの記事を読んで

http://bucchinews.com/subcul/6474.html

ああやっぱこの人面白いわ!と感心し、もっと読みたくなったから。(そういう意味では幻冬舎社長の炎上芸は出版界に貢献してもいるのかw)

90年代と言いつつ、内容は「鬼畜系」「悪趣味系」などと呼ばれる「サブカル」界隈の話が主。同時代人としての体感&現代から見た評価を交えた解説の書である。上記記事と同様、理知的で抑えた文体ながら軽妙で、読みやすくて面白い。根本敬氏とかはほぼ「その界隈で伝説的な人」ぐらいの知識しかなかったので、勉強になった。

「鬼畜系」というネット直前の異様なブームに対し、方法論などにおいて一定の価値を認めつつも、人権意識が低かった、愚かな形式だけのフォロワーを産んでしまった、など負の側面も大きかったと著者は指摘する。20年を経て、日本も多少は「民度」が上がったのである。いまも酷いとこはあるけど、総合的には。

「この人の感覚は信頼できる」と思える文章が随所にあった。例えば:

p.42 他人との差異をつけたいとするなら、一番簡単なのはアイテムを使って奇をてらうこと

p.79 (「メンヘラ女」を好む男性を)本当に気持ち悪いのです

p.153 彼女という人間を自分が必要としている物語の中に回収することが主になってしまい、作品自体を純粋に味わうことがない人が多いのではないかと感じてしまう

p.186 「誰もが傷つかない表現はない」ということと、弱者をわざわざ傷つけるための表現というのは違います

p. 190 良俗に反しながらも、汚い劣情と寝ないような姿勢がなければ、表現としてのそういうものは生き残れない

 

最後に、不本意ながら…おなじみ私の天然構文チェッカーが検出してしまったので。

  • p.88 ネカティブ
  • p.132 というという
  • p.136 社会に届くことはも
  • p.179 ようヘイト発言