武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

夏物語

2022/1/9自宅で読了。
夏休み、2021/8/13に故郷の本屋で買ってから第一部の6ぐらいまで読んで、それからなんやかやバタバタしてて置いてしまい、冬休みに一気読み。
ぐんぐん読ませるけど読み終えるのがもったいない、幸福な読書体験でした。

すばらしかった。
帯に「世界が称賛する最高傑作!」ってそんな頭悪げな褒め方せんでも…と思ったが、たしかにこれは世界中の女性たちが快哉を叫びそうというか、称賛しそうな内容だった。
女性だけでなく人類への贈り物とも言える。

登場人物の女性たちが、それぞれ違っててみんな愛しい。
私の立場は仙川さんに近いかな(実家がそんな金持ちではないけど)。目の前のことをやってて、気付いたら年を取ってたという。逢沢さんにとっての夏子のような人が私にもいればいいのに。
作中で最もハードコアな遊佐の言動に共感する人も多いのだと思う。「好きな作家はウルフです」系のことを俺も言ってしまってそうやw
そして「まんこつき労働力」というキラーフレイズ。おもろいけど、田舎はそうよな~とやるせなくもなる。他人事ちゃうねん。

終盤、コミばあの思い出が現れ、故郷の場面あたりでもういわゆるエモMAX、何を読んでも泣いてしまいそうになる。
そこからさらに最後のクレッシェンドで感電する。もうあかん。イタチ出てくれてて助かったわw

聖と俗、静と動、壁と卵、悲劇と滑稽…世界のいろんなものが詰まってて、とにかく面白いけどどうしようもなく泣ける。
例の奴は「醜悪さ」の描写が巧すぎる。読んでて気分悪くなった人も多いと思う。
ボイジャーの挿話も良かった。
最後の場面は臨死体験の手記のようにも見えた。すごいな人間!!

川上未映子さんの小説を読むのはたぶん『ヘヴン』以来で11年ぶり(!)。なんということ。
まだ読めてない他のもこれから読んでいこうと思う。なんて幸せなこと。