武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

FACTFULNESS

2021/5/6、大型連休を利用して実家で読了。(去年の4月から積んでたようだ)

売れてたのは知ってて、身近なあの人も読んでたからという低俗な理由で買ったのだが、読んだらわかった。
これは売れるわ~。
「忙しいビジネスパーソン」でも読める平易な文章で、世界についての目から鱗な事実たちが語られる。とても祝福的に。
内容はもう有名であろうから私がくどくど説明するまでもなかろう。この13のクイズ を発端&中心として、現代人が持つ様々な偏見・勘違いを丁寧に正していく。文字通りの啓蒙書である。

筆頭著者のハンス・ロスリングは数々のいわゆる最貧国で医師を務めていた、最高の実践的知性の持ち主と言える。なので非常に説得力がある。
すい臓がんで余命数か月と宣告されてから、本書の執筆にすべてを捧げた…という展開も熱い。故人の遺志、人類への贈与って感じがする。

以上のとおり内容はすばらしいのだが、浅薄な tone policing のネタにされそうな点だけ注意か。
「日本における性犯罪の件数は年々減ってることをご存知ない? 感情的にならずにファクト見ようねw」などと。
そのようなゲスには「ええ、その『良くなっている』と『悪い』は両立しますよね?」とでも言ってやろう。

10の「○○本能」というのはおそらく著者の造語で、説明の便宜上命名したもの、MECEでもないと思う(全部「不安」の一語に還元できるかも)。
なので「この○○本能というのは実在するのか? それを裏付けるデータは?」といった「ファクトフルネス」な問いを立てることも一応可能そうではある。ちょっとそこの言い訳があってもよかったかもしれない。

謝辞の人数もやばいが(何百人いるの? あとアラン・ケイってあの?!)、脚注も充実してて参考文献がたっぷり載ってる。
その中でも複数回引用されてる『社会はなぜ左と右にわかれるのか』『超予測力』は読んでみよう。(前者は読みかけて積んでたのよね)