2023/11/5 - 12/29 で読了。
サザンの名曲「01MESSENGER」をちょっと偲ばせる表紙。あの池谷先生が帯で褒めてるぐらいなので間違いはなかろう…と読みはじめた。
「言語や音楽は、自然界を模倣している」というのが本書の主張。1~2章で言語、3~4章で音楽を扱っている。
これはいわゆる「芸術のお手本は自然」みたいなレベルの話ではない。言語や音楽を構成する要素のほうが、自然界で起きる様々な現象に酷似しているという驚くべき説なのだ。
我々は日々当たり前のように文字を読む。文字なしの生活、文明など考えられない。文字を読むことはまるで人類の「本能」であるかのようにすら思える。
しかし、人類の長い歴史の中では、文字がなかった時代のほうがはるかに長いはず。読み書きなんていう「曲芸」を、人類はどうやって・いつの間に獲得したのだ?
……文字を読み書きできるよう「になった」んではなく、もともと知覚できてたようなものを「文字」(≒言語)にしたんでは?!!
という発想から、言語がいかに自然界の音(ぶつかる、すべる、鳴る)に似た要素で構成されているか、を地道に検証していく。そのだんだん仮説が裏付けされていく過程が面白い。
では「音楽」の起源は?!と気になった人は本書を読んでみるといいと思う。(残念ながらセックス音ではなさそう)
気になったところ
- p.15 ホモ・チューリンギピテクス
- p.61 努力すれば毎分750語近く話せる!? 12.5 words/s ??
- p.64 液体をばっさり除外するのは乱暴では?「ドボン!」「ぱしゃっ!」とかあるやん
- p.74 この三種類で本当に必要十分なのか?
- p.94 内破音
- p.101 破裂音が有声か無声かによるVOTの違い このへんから「科学的」っぽさが増して面白くなってくる。
- p.104 「とくに t と k は、有声の文字より複雑な構造」かぁ? d と g も同程度では?
- p.107 bad と bat の母音の長さの違い。bad のほうが長くなると言うが…英語話者なら同意するのか?
- p.149 日本の「止まれ」の道路標識 = V
- p.155 音楽の四条件?「脳、感情、踊り、構造」は(同意はできるけど)唐突感ある。根拠も示されてない
- p.175 earworm
- p.196 movement = 楽章
- p.201 音楽はリズムが命…Dr. Capital!!
- p.255 メロディー=ドップラー効果起源説。自然音のドップラー効果にそこまで「彩り」はない気がするが?
- p.258 tessitura
- p.348 「(動作主が)直進しているときは、(音高の変化は)下方向しかありえない」が理解できず。自分に近付いてくるときは上がるのでは?
残念なところ
やけに「逆」な間違いが多かった。もしや横書きの原書を縦書きにしたときに間違えた?