武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

いさましいちびのトースター

連休中に読み始めた『SFまで10000光年』で水玉螢之丞さんが名乗っていた「いさましいちびのイラストレーター」。の元ネタを昨日丸善で見かけたので衝動買ってきました。表紙がかわいらしいので本棚にあるといいなとも思って。

いさましいちびのトースター (ハヤカワ文庫SF)

いさましいちびのトースター (ハヤカワ文庫SF)

 

お話はまあ、別荘に取り残された5台の電気器具たちが、主人に再会するために大冒険の旅に出る…という、子供向けの荒唐無稽なもの。

しかし、ところどころ大人向けに書かれてるような一文もあり、ニヤリとさせられる。例えば

p.43

この花は(とヒナギクは思いました)ふしぎなほどわたしに似ているのに、そのくせちっとも似ていない……。えてしてこんなパラドックスが、炎のような恋を生みだすものです。

p.83

わたしたちは、ほかのものがみんなおなじで、自分たちはめいめいちがっている、と考えがちです。

p.112

どんな問題でも、いちばんたしかな解決法は、それについてよく考えること

 

それはそれとして、浅倉久志さんの訳が丁寧で、感銘を受けました。

序文(?)の七五調がすごい!(原文読んでないのでどれほど原意に即してるかはわかりませんが)この訳文作るの苦労したやろな~と思った。

 

ちなみに、実はこのタイトルすら元祖ではなかった。元ネタは『いさましいちびの仕立屋』だそうです。グリム童話か。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%87%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%84%E3%81%A1%E3%81%B3%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%AB%8B%E3%81%A6%E5%B1%8B