武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

火星のタイム・スリップ

2023/6/25 - 7/23 おもに広電とバスで読了。

濃厚で面白かった。実験的な問題作という感じ。

「分裂症」(いまで言う統合失調症か)が主要テーマになってる。
人類が火星に移住した未来、という一応SF的な体裁を取ってるものの、内容はむしろ『ドグラ・マグラ』みたいな狂気の物語に近いかもしれない(ドグマグあんまり覚えてないけど)。
なんせ肝心の「タイム・スリップ」の仕掛けが・・・(ネタバレ防止のため略)という。
「分裂症」がもたらす被害妄想の主観描写パートの気色悪さは出色。小尾さんの訳もすごいのだろうが、原文はどんな感じなんやろ?

特定の1人が主人公というわけではない構成もわりと新鮮。書き割りのように見えた人物にも思惑やら言い分があり、侮られた存在に異様なほどの知性があったりする。
「分裂症」の作用を表現するために選んだ手法とも言えるかも。

覚え書き

  • p.12 ここですでにFDR山とレオが出てきてたのか!(覚えてなかった)
  • p.137 世界でもっとも古い方法である物々交換制度
  • p.256 「浮気は三方よし」みたいな詭弁w