2017/7/24、出張帰りの地下鉄で読了。
西田藍さんが紹介なさっていたので読んでみた。
ケン・リュウっていうと世代的に「スト2の主人公っぽい名前やな」とかつい思ってしまうが、いま世界的に大注目の実力派若手(私の3~4学年上)作家らしい。
読んでみて「これはたしかに実力派やわ」と思った。筆者は中国で生まれ、11歳でパロアルトに移住→ハーヴァード大卒→MS入社→独立→弁護士…という無敵すぎる経歴の持ち主で、そのプログラマや弁護士の経験も作品に活かされてる。
そういった「プロっぽさ」や技巧的なところが面白いのはもちろんなのだが、それらより何よりも、常に政治的・社会的「弱者」の視点を持って描かれているのがこの作家の素晴らしいところだと思う。村上春樹さんの言う「卵」側の立場というか。
収められた7篇はそれぞれテイストが違っており、表題作「紙の動物園」のように幻想的・すこしふしぎなものから、かなりSFな「心智五行」、中台の過酷な政治的実相を絡めた「文字占い師」まで様々。帯に又吉さんが書いてるように、読んでて「ずっと幸福」でいらるような作品群では実はない。人間のどうしようもないおぞましさも出てくる。
感想をひとことで言うと:拷問、ダメ。ゼッタイ。