2019/8/19読了。夏休みの良い読書でした。
虚妄のAI神話:「シンギュラリティ」を葬り去る (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: ジャン=ガブリエル・ガナシア,伊藤直子・他
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2019/07/18
- メディア: 文庫
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いかにもフランスのインテリな教養・晦渋に満ちた文体で面白かった。
まず目次見ただけでやばい。声明、テクノ預言者、大転換。可能性、蓋然性、信憑性。放火魔の消防士、傲慢、宣伝、目くらまし……「一等地」っぽい見出しの連打に著者の知力が窺えるようだ。
さらに、6人の分担による訳が非常にしっかりしてる。読みやすく誤字脱字も一切ない(昨今の本としてはこれは珍しいこと)。西垣通さんの解説も的確でわかりやすい。
シンギュラリティ信者がよく論拠とするムーアの法則は全然科学的じゃない、そんなん起こるわけないやろ、あいつらのAIってまるでグノーシス→なんでGAFA(M)はそこまでシンギュラリティを「信仰」するのか、それがカタストロフィとほぼ同義であることも喧伝しつつ?というとこまで考察した本。彼らは実は「自らの責任を回避している」のだ、という結論部分はいち仮説ではあるが、重要な視点であろう。