2024/2/8 - 3/14、広電内でチマチマ読了。
なかなか面白かった。
買ったものの、いかにもパンクアイコン的というか(Trainspotting も流行ってたな)不良っぽいものに憧れる若者が好きそう…という印象で特に読む必要性を感じず、ずっと積んでしまってた。漱石も実はめっちゃロックやんけ!ということに25歳で気付いてしまったというのもあったか。
それがこのたびついに読んでみて。攻撃的な中島らもというか、アル中(6缶入りビールが頻出アイテムw)の露悪的なおっさん、という感じでわりと予想通りであった。顧みない対象としての妻子を持ってるという意味においても正しく無頼派というか。90年代日本で流行った「悪趣味系」との相性もよかったと思われる。
いかにもパンクロックな作風で、ディオゲネス的「下から目線」(それが内発的なものか人工的な芸風か、その両方かもしれない)は嫌いではないと思った。私もそうなので。
ただ女性蔑視がきついので現代では受け入れられがたいとも思う。平気で飲酒運転するし。
「ありきたりの狂気」に込められた主張としては、現代のアメリカはどいつもこいつも狂ってる、自分も含めたアル中もギャンブラーも真面目にあくせく働いてる奴らも。というぐらいの意味か。
読んでためになる本ではないし、心が温まるとか誰かと熱く語りたくなるような本でもない。いま読む「必要性」はまったくないと言える。
ただ時々「おお、さすが詩人」と思わせるような光る言葉が出てくることもある。泥に咲く花のような。
あと「こんなどうしようもない奴でも堂々と生きてるんやしな」という、ある種の救済のようなものは感じられるかもしれない。ブコウスキーと友達になれるかはわからんけどw
例によって覚え書き
- 16 動物たちは「どんなときでも自分自身なの」
- 22 「みんな自分自身にうんざりして、死を願ってる」は人類の常態か?
- 33 いい展開
- 41 ピンハネを糾弾
- 111 「作家のほうがおまえを選ぶんだ。おまえが選ぶんじゃない」
- 118 女性蔑視がすごい。ネタか?
- 133 禅の結婚式の「ふざけた味付け」w
- 134 FBI捜査官w
- 147 「悪かったな、一瞬忘れてたよ」w
- 166 時間を、人を邪魔する以外にはつかいようがないという、何十億もの人間
- 175 纏足二つぶんぐらいまで迫ってきた
- 178 古臭くてあくびが出るほど退屈な言葉「死の願望」
- 181 「詩人というものは不平不満を注意深くいってるだけ」w
- 232 「一人暮らしで台所がいつもきれいでいたら、九人のうち八人は浅ましい性根の男である」w
- 258 クズどものせめぎ合い、すげー面白い
- 281 「それともピュリッツァー賞のほう?」w
- 290 どんなラビになるかは知れている
- 295 「おれは鳥が水浴びできるような場所があればいいよ」美しい表明。
- 297 「一センチ進むのに、どれだけ多くの人間が死ななきゃいけないんだ?」ここの会話いい。
- 300 充実した48歳! 羨ましい。
- 327 「えっ一九七五年?…なんだ一九八四年はもうすぐじゃないか」
- 357 (ボビーのちょっとした癖、)彼はそうしなければならない
- 360 プーロンの態度w
- 362 ドクター・ブレイジンガムのクズ描写w
- 377 なんとかやれそう
- 382 仕事で疲れ切ってるところに自作の詩を読めと言ってくる女性w
- 389 「ソースパン」という架空アイテム
- 396 ノーマン・メイラーを読む人たちや、野球を見にいく人たち…が怖い
- 401 悲惨な事故現場を撮影する人々。スマフォなんてなかった昔からそうか
- 407 おかしな奴=ペストが「かならず私に目をつける」w 共感。
- 411 マックリントックw
- 417 自由な魂はありふれているわけではないが、会えばわかるものだ…わかる
- 430 「糞いまいましいグッゲンハイム助成金の申込み用紙を手に入れたかったらどこにいけばいいかを知ってる連中」
- 433 「バタ屋のサム」
「ミニスカートの女の値打ちは八ドルそこそこだ」w - 434 「(金持ちは)何にも関心がなく、ただ金だけを持っている。あわれな動物ではないか」透徹してるようでもあるが、ただの僻みでもあるな
- 439 「さよう」ww
- 441 「孤独癖が強くて一人で飲むのが好きな、年とった飲んだくれ」俺か!
- 443 若者言葉への苛立ちがおもろいw
- 446 (老人は若者に)「嫉妬してるのだ」
- 451 「こいつらがこんなにハンパで生きていけるなら、私だって生きていけると思える」w
- 452 彼女は目を明けていた ← 誤変換?
- 463 最後の短編「毛布」は趣向違って良い。幻想的で。
- 464~ あとがき
- 467 (日本語と)英語とのあいだに、無傷でいったりきたりできる通路などない
- 471 (小説とは)「こんなんでいいのである」!