武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

ダブリナーズ

2011/6/19(日)、平坂書房 MORE’S店で芳賀さんから買った。つまり横須賀出張中だろう。
Finnegans Wake 読んでみたいけど難しかろう、てことで手始めに選んだのだった。

ずっと(何の本かわからんまま)寝かしてて、やっと 2024/5/17 - 6/16 で読了。13年越し!
本は買っとくもんやねぇ。

名前のとおり、ダブリンを舞台にした短編集。「ニューヨーカー」「ロンドナー」「ベルリナー」のような呼称が存在する都市はごく稀で、それらにダブリンを連ねることを試みた書名らしい(柳瀬尚紀氏の解説より)。

(おそらく前提知識不足により)正直ようわからん話も、ようわからんけどエモい話も、読みにくい話もそうでない話も、いろいろあった。
なので例によって読書中のメモを残しとく。

アラビー

  • 54 高揚と子供の無力感。良い。

エヴリン

  • 62 ストリートオルガン 1904年ごろにすでにあった!

レース

  • 67 欧州(コンチネント)という呼び方。

二人の伊達男

  • 80 簸(ひ)る 巻末で解説もされてるこだわり訳語。
  • 88 チュールという素材を知った。現代でも人気やね

下宿屋

  • 99 執達吏(ひったくり)
  • 105 これが罪になる時代とは……

小さな雲

  • 133 がんばって妻に服を買ったたまらんエピソード。100年以上年前やけど共感できる。

写し

  • 152 狂薬(きょうやく)
  • 153 これ「ほろ酔い」って段階?
  • 159 酷すぎる世界。

土くれ

  • 163 火熨斗掛け
  • 172 不穏さと謎めいたほのめかし。これが clay?

痛ましい事故

  • 177 手箱 「玉手箱」のか!
  • 177 壁龕(へきがん)niche!
  • 178 土星気質
  • 178 慳貪 つっけんどんの。
  • 178 妙な自伝癖w
  • 179 金ぴか族連中w
  • 180 アストラカン
  • 182 「道徳は巡査にまかせ美術は興行師にまかせる鈍感な中流階級の批評を甘んじて受けるために?」!
  • 191 人生の饗宴から放逐されたのだ

委員会室の蔦の日

  • 211 鼬の毛がらわしいのを着て

母親

  • 236 重立った 誤変換?と思ったらこれも合ってるのか!
  • 236 「夫の才能の乏しいのは承知しているけれども、男性としての抽象価値を尊重しているのだ」これが100年以上前に書かれた文章とは。
  • 239 自得の色
  • 248 わりとどうしようもない話w

恩寵

  • 254 「サイクリング服」! あったのか
  • 257 アウトサイダー=二輪馬車
  • 263 不憫なカニンガム!
  • 264 信仰心は家事の域を出ないものではあったが 文章の密度がすごい。
  • 281 「今どきの上っ面ばかし(の教育)」人類は昔から同じこと言ってるか。
  • 291 富の神(マモン)の崇拝者たち

死せるものたち

  • 299 ゴロッシュ
  • 316 ランサーズ・カドリール
  • 324 宣伝熱心の背後に自分自身の人生をもたない女
  • 324 新しき極めて真剣な教養過剰の世代
  • 343 「われわれがゆとりなき日々に生きている」これをひいおじいさんぐらいの人が言ってたなんて。
  • 345 叔母たちへの美辞麗句がすごいw
  • 370 哀れな男。
  • 374 こっから一気に emotional crescendo

解説

  • 381 執達吏(ひったくり)の解説。勉強になる
  • 383 翻訳の工夫。感動的
  • 387 そういえばギネスのロゴはハープ!

語彙が増えた。たぶん一生知らなくても困らない単語ばっかりだが、もちろん知ってるほうがいい。

あなたと原爆 オーウェル評論集

2023/5/27 購入、2024/4/23 - 5/17 で読了。

約80年前にすでに、現代人でも敵わないこれほどの知性が存在したことに感銘を受けた。「ナショナリズム」と「母国愛」の違い、パレスチナ問題など、現代でもその正しさと価値を失っていない OOPARTS のような評論集である。
やはり私の心の師匠の一人であり、Great Brother であると確信した。早逝がたいへん惜しまれる。

良かったところ

あなたと原爆 (1945)

  • 15 地球の表面が三つの大きな帝国に分割されつつあり
  • 17 冷戦 の初出!

科学とは何か? (1945)

  • 20 J・スチュワート・クックの「人文偏重・科学軽視」論。当時からこういうのあったの! オーウェルの先見性がすごいのか人類が進歩してないのか。
  • 23 ドイツ人(狭義の)科学者たちが人種科学 [優生思想] を鵜吞みにした
  • 25 そのような人が起こす政治的反応は、いくばくかの歴史的記憶や非常に健全な美意識を持っている字の読めない農民の反応より、おそらくは知的に劣るものとなるだろう
  • 25 科学的教育が意味すべきものは「方法の獲得」。なんて正しい。
  • 27 狂人たちの世界の真只中にもひと握りの正気の人たちがいるのである

復讐の味は苦い (1945)

  • 32 それができなかった過去に、できるようになったらこうしたいと計画した通りの行動をしているだけで、大して楽しんではいないのだ
  • 36 戦争の実態を見たベルギー人ジャーナリストの改心。

スポーツ精神 (1945)

  • 38 スポーツというのは憎悪の原因ww
  • 41 こういったばかばかしい競争で怒りの炎を燃やして、走ったり跳ねたりボールを蹴ることが国家の美徳の証明であると、短期間であっても信じさせてしまう国家の態度こそが問題なのだ
  • 43 スポーツ崇拝は十九世紀の終わりになるまで起こらなかった
  • 43 ナショナリズム、つまり自分自身をより巨大な権力の単位と同一化して全てを競争的な名声を通して見るという狂気じみた現代的な慣習…明快すぎる定義
  • 44 ユダヤ人対アラブ人

絞首刑 (1931)

  • 53 心が一つ、世界が一つ、なくなる。

象を撃つ (1936)

  • 60 キンマ 檳榔みたいなものか?→合ってた
  • 62 英国のインド統治(ラージュ)
  • 63 must = さかり
  • 64 事件の現場に近づいて行けば行くほど、情報が曖昧になっていく
  • 75 どんなインド人苦力より象一頭の方が価値が高い 悲しい話。

マラケシュ (1939)

  • 79 人口過密なユダヤ人居住地区。貴重な記録
  • 81 ユダヤ人差別、魔女裁判、延々変わらぬ人間の愚かさ。「そんな魔法が本当に使えたなら、まともな食事を摂るのに苦労したりはしなかったはずなのだが」
  • 82 従事している仕事が重要になればなるほど、それだけ目につかなくなるものだ
  • 83 この地に住む九割の人々にとって人生の現実とは、蝕まれた土地から僅かの食料をなんとか絞り出すための終わることのない骨折りを意味する
  • 85 彼女は老婆としての役割を受け入れており、それは言わば荷物運び用の動物の役割だ
  • 88 「あとどれくらいこの人たちを騙し続けることができるのだろう?」

右であれ左であれ私の国 (1940)

  • 91 マルヌ会戦タイタニック
  • 93 何年も自分のもとで働いてきた馬車の馬を取り上げられた御者 戦勝国でさえこういうのあったのか。
  • 94 当時のエリート少年たちに瀰漫してた「視野の狭い平和主義」。めっちゃ重要な記録では?
  • 96 We want eight and we won't wait!
  • 101 もったいぶった反動主義者の骨組みからでも社会主義者は作れる

スペイン内戦回顧 (1942)

  • 105 マヌエル・ゴンサレス、ペドロ・アギラル、(…)といった美しく鳴り響く名前たち
  • 108 戦争とはただただ死体と便器
  • 110 不労所得資本主義の時代
  • 113 一九三七年に日本軍が南京で行った残虐行為についての恐ろしい話をどんなものでもすべて信じ込むような人々が、一九四二年の香港での残虐行為について同じような話を信じない
  • 125 この類のこと(=粗悪なプロパガンダ)に私は慄然とする。客観的事実という概念自体が世界から消え失せていっているような気がするからだ
  • 144 労働者階級の社会主義者に向かって「物質主義」云々とお説教するこういった政治家や聖職者、文学者等々の連中の忌まわしき横柄さ!

ナショナリズム覚え書き (1945)

  • 154 ナショナリズムとは自己欺瞞によって強化された権力欲だ
  • 156 ドラッカー独ソ不可侵条約を予想。ご長寿!
  • 156 政治評論家や軍事評論家は星占い師と一緒w
  • 164 BBCの発音や開いたA音
  • 164 ナショナリストの思考にはしばしば、共感呪術を信じているかのような印象さえ感じられる
  • 166 ナショナリストにおいて変わらないままなのは、彼自身の心の状態のほうであり、一方、感情を向ける対象は変わりうるし、それが実在しない想像上のものだということだってありうる
  • 168 民間人への爆撃 現代のような文!
  • 170 一九三三年のウクライナ飢饉
  • 171 ナショナリストはみな、過去は改変可能だという信念に取りつかれている ここも現代のよう。
  • 173 彼が求めるものとは、自分が属す集団が他の集団より勝っていると感じることであり
  • 177 ジョイス登場! この時代の人か。
  • 179 ソラトピー ぐぐってもまともな定義が出てこないが、サファリハットみたいなものらしい
  • 180 黒人の性的能力の高さは、口にはされないが神話のように広く信じられている
  • 187 「より頑固な種類のナショナリストには、数年の時間が過ぎたあとでもまだ読むに値すると思えるような本は決して書けない、という事実にはある種の消臭効果がある」w
  • 193 現代の世界ではインテリと呼ばれるような人間は誰であろうが、政治を気にかけないという意味で、政治から距離を置いて関わらないことは許されない

イギリスにおける反ユダヤ主義 (1945)

  • 197 「あの路線には神に選ばれし民が多すぎますよ」…「ベビーカー様」みたいな表現か
  • 202 反ユダヤ主義の特徴の一つは、おそらくは事実ではありえないような話を信じてしまう能力を持っていることである
    現代の陰謀論者にもそのまま通じる。
  • 202 1942年ロンドン、100人以上が地下鉄駅で圧死→流言飛語
  • 210 オルダス・ハクスリー登場。なんとオーウェルのフランス語教師!
  • 213 イギリスが現下の戦争で大いに弱体化した場合には、まず確実に(ナショナリズムは)生き返ることだろう
    なんと正しい。
  • 214 反ユダヤ主義は根底において理屈に基づいたものではないため、議論によって論破することは不可能である
  • 216 シオニストユダヤ人は、私に言わせれば単に反ユダヤ主義を裏返しにしたものに思える
    やはりそうか、昔から。貴重な指摘。
  • 216 「なぜ私は反ユダヤ主義に惹かれてしまうのか?」を問うべき。

おいしい一杯の紅茶 (1946)

ここから一転して軽い話題になる。

  • 224 「紅茶の風味を砂糖でぶち壊しにするような人間を本当の紅茶愛好家と果たして呼べるものだろうか。それでは胡椒や塩を入れても同じではないか」ww

本対タバコ (1946)

  • 228 この時点でオーウェルの手元にある本は442冊。私と一緒ぐらいか!?
  • 230 約900冊で約165ポンド。当時の本安っ!
    他の娯楽と比べると相対的に・圧倒的に安い、のは現代も同じか。「娯楽」じゃないしな。

なぜ書くか? (1946)

  • 236 おそらく五歳とか六歳の頃から、大きくなったら自分は物書きになるのだろうとわかっていた。すごい
  • 242 人類の大部分の者たちは(…)だいたい三十歳を超えると個人的野望を捨て去り(…)概して他の者のために生きていく
  • 242 美的熱意(…)ことばとその正しい並びの美しさを知覚すること。
    まさにこれが私も動かしている。
  • 243 芸術は政治と無関係であるべきだという意見もそれじたい政治的態度であろう。
    2020年代になっても湧いてくる言いがかり、に対する答えがすでにあった。
  • 248 自分の政治的姿勢について意識するようになればなるほど、美的、知的な完全性を犠牲にすることなく政治的に行動できるようになる
  • 249 自分が生きていて元気なうちは散文の文体に強い関心を持ち続けるだろうし、この地球上で起こることを愛し、具体的な物質にも情報の切れ端にも喜びを見出すだろう。私という人間のそういう側面を押し殺そうとしても無駄である。私のするべきことは、自分の中に根深く存在する好き嫌いを、この時代が我々すべての者に強いる本質的に公的で非個人的な活動との間で和解させることだ。
    泣けてきた。私の一部が書いた文のように感じられた。
  • 251 すべての本は失敗作なのだが いい諦観。

ある書評家の告白 (1946)

  • 256 『岐路に立つパレスチナ』今までいくつ岐路があったのだろう。
  • 256 おそらく間違えて入れられた小説『横になっている方がまし』が気になる
  • 257 書評は求められた長さぴったりに、残り時間三分というタイミングで完成する。すごいプロ!
  • 260 「私はこの本にはどんな点においても興味を持てないし、金が払われなかったなら何か書きたいとも思わないだろう」w
  • 261 「映画評論家に比べれば書評家はまだましである」w

ガンジーについて (1949)

  • 268 生きているだけで世界を豊かにすることのできる興味深く並はずれた人間
  • 269 やむを得ず牛乳を摂ることを「背信行為だと考えていたようだ」

解説

  • 284 トランプ当選で『一九八四年』がベストセラーになるアメリカもすごい。
  • 287 オーウェルの評論に見られる特徴の一つは「常に自省し自己批判を怠らないこと」。
  • 290 「スペイン内戦」の解説。世界史に疎いのでありがたい。
  • 291 オーウェル、スペイン内戦で「銃弾が喉を貫通」して死にかけていた! 頸動脈と1mm差で。
    その時死んでたらこの本も世に出てないと思うとすごすぎる。

年譜

  • 296 幼少期のエリックは神経質で内向的。フロンキーという名の架空の友だちを作りあげる。
  • 302 43歳で再婚活!

Poking at 重箱の隅

  • 163 この「すべからく」は「~義務」にかかってると読めなくもないが…
  • 252, 260, 276 これらの「すべからく」はことごとく誤用っぽい

初めてのJavaScript 第3版

2024/4/30 - 5/13 で読了。
若者たちに教えるのに間に合った!

784 ページあるほう(O'Reilly Japan - JavaScript 第7版)を読んで完全理解する意気込みだったが、丸善に置いてなかったので日和ってこっちにした。

以下、個人の感想です。

総論

言語仕様について

  • 「そんなにイヤな言語じゃなくて良かった」という印象。C# ほど「何やねんこの言語」という感じはなかった
  • ほぼ Ruby 脳で理解できたので「Java っぽい見た目した Ruby」という捉え方で差し支えなさそう
    • ちょいちょい感覚の違いはある。例えば p.363
      Object.freeze(o); こういうのは
      o.freeze(); と書きたくなるが、
      Object.freeze() - JavaScript | MDN 「静的メソッド」となってるからダメか。
      →いや、freeze なんてすでに世の中で定義されまくってるであろうから衝突を避けるためか。デファクト言語のつらさ。
    • 記号も多め、なので Perl っぽさはある。とくに括弧はゴチャつきがち
  • セミコロン必要なのは現代の観点からは「めんどくさい」けど。Java* という名前やししゃーないか

本の作りについて

  • 各章が適度に小分けされてて読みやすい(延々知識の羅列が続くような章がない)
  • Larry Wall ほどのジョークはない
  • 例題は簡単め。カーニハン師ほどハードじゃなくて良い

学習メモ

まえがき

3章 変数、定数、リテラル、データ型

  • 32 string の由来は string of characters。知らなんだ!
  • 32 「"」「'」違いはない
  • 35 テンプレートリテラル Ruby でいう "#{foo}"
  • 38 シンボル Ruby と思想は一緒かな? でも生成がややめんどい
  • 40 オブジェクトにいつでも簡単にメンバ後付け可能、すごい柔軟! これはびっくりした。
  • 47 配列の最後を [-1] で取れないのはめんどくて残念。[-1] や [-2.3] といった添字が「別の意味で」使える、というのもすごいが

4章 制御フロー

  • 60 while, if のスタイルがK&Rじゃない!
    →公式はK&R風で安心。というか Prettier を使えってことか。
    JavaScript のサンプルコードの作成ガイドライン - MDN Web Docs プロジェクト | MDN
    • どれも合理的で、進んで従い(従わせ)たくなるルールばっかりなので好ましい。ええやん!
    • ここの例を見てるだけでも文法の復習になっていいな
  • 60 「+=」ないの?!と嫌いになりかけたが、p.87 であると知った。最初から推奨される書き方をしてくれ~!
  • 62 (funds > 1) はバグでは? > 0 のはず。(p.79 も同様)
    →その後の全体コードでは修正されてた
  • 67 US英語で dice の単数形は die、知らなんだ
  • 70 if(bets[face] > 0) 私ならこの条件は省略するかな
  • 72 この本でEBNFが出てくるとは!
  • 78 for...of これが foreach か。
  • 82 フローチャートの限界に言及。初心者向けの本として良い

5章 式と演算子

  • 83 代入した結果も値を持つ。わりと高度な話。Ruby の「すべては式」を思い出す
  • 95 被演算子が論理値ではない場合は、「結果を決めた」値が返されます … 面白い仕様だが納得はできる

6章 関数

  • 119 call, apply, bind
    強引な仕様にも思えるが。要は便利機能?

7章 スコープ

  • 126 JavaScriptにおいては、「宣言」と「定義」は同じ
  • 136 var、巻き上げ 気色悪!と思うけど、コンパイラ言語みたいなもんか

8章 配列

  • 144 slice では(配列と違って)負の添字が使える。惜しい
  • 152 reduce … 一見小難しいが、Ruby の inject やな(と思ったら Ruby でも reduce あったw)

9章 オブジェクトとオブジェクト指向プログラミング

  • 161 オブジェクトのプロパティは順序保証なし。せっかくECMAていう単一の標準があるのに強制できなかったのか
  • 165 ES2015 によりクラスを直感的に定義できるようになった。ES2015 以降に学んでよかったw
  • 167 private なし! まあなくても書けるプログラムが大半か。
    →できてた! プライベートプロパティ - JavaScript | MDN
    しかしここ、ESバージョン何で導入されたかは書いてないのか?
  • 173 プロトタイプ、小難しいけど説明はわりとあっさり。Ruby でいう特異メソッド(の逆)みたいなもんか
  • 174 static キーワード。クラス変数はクラス名で修飾。「@@」よりわかりやすい?
  • 175 extends, super … ああこれ "Java"Script や!
  • 177 すべてのオブジェクトは Object のインスタンス … めちゃくちゃ Ruby やんw
  • 179 多重継承を mixin で実現…Ruby やん!w
  • 182 「オブジェクト指向言語とは呼べない」という人さえいました わからんでもないが、ほぼ実現できてるやんとも思う。

10章 マップとセット

  • 183 Map いわゆるハッシュや辞書。やっと来た!
  • 184 get/set がややめんどいか
  • 185 entries は Map の「デフォルトイテレータ」! やるなあ
  • 186 WeakMap これはだいぶ高度…初心者には意味(恩恵)わからん機能の一つやな
  • 189 以前はオブジェクトで代用していたが、いまは本当のマップが使える。ES2015 以降でよかった

12章 イテレータとジェネレータ

  • 208 ジェネレータのキモ面白挙動、ややこしいが図示されててわかりやすい。まあ他言語にもあるしな

14章 非同期プログラミング

  • 251 「プロミスを返す関数を呼び出すプロミスを返す関数を返す関数」中上級者向けの説明。構文的な意味は一応わかったが、ややこしいな!

17章 正規表現

  • 281 文字列側は match、正規表現側は test
  • 282 入力文字列の「消費」。この考え方は知らんかったかも!
  • 293 greedy の逆、lazy matching。こっちの呼び名忘れてた
  • 294 \1 などによる後方参照。この使い方も忘れてたな
  • 298 この章、例がけっこう具体的で本格的、だが説明あっさりなので、ここで初めて学ぶ人は挫折するかもw わりと読み切るのしんどかった。
  • 301 先読み。これも知らんかったかも?

18章 ウェブブラウザのJavaScript

  • 317 イベントの伝播(下降 capture、上昇 bubble)。ここは絵がないとむずい。さらに example は同時にまとめてやりすぎでは?

19章 jQuery

20章 Node.js

  • 344 return console.log(...); という書き方、この本で多用されてるがいまだに慣れない。筆者の奇癖とかではないの?
    →ぐぐったら世の中的にもよく使われてそう。ただ意味的におかしいやろ、短く書ければいいってもんちゃうやろ、という不服は残る

付録B 演算子の優先順位

  • 378 ビットANDが等値(== など。「等価」のほうが一般的か)より低いのは意外。括弧付け忘れのバグありそう
    →いやC言語からそうなのか!

誤字脱字など

妙にいっぱいあってやや残念。日本での出版を急いだから?(私が買ったのは 2020/11/10 初版第6刷 で、直す機会もありそうだが。そんなに読まれてない?)
あるいは「ヴァン・ヘイレンのM&M」的な仕掛けなのか?と疑ってしまうほど全編に散りばめられてた。

  • 1 Schme
  • 1 Guy SttleSteele
    1ページ目からこれ。不安になってくる
  • 109 変更されてします
  • 199 Firfox
  • 208 呼び出しすと
  • 214 副作用とは見なす
  • 220 13-05-4 このインデント(というか空白埋め)はさすがに嫌すぎでは?
    というか載せるの 13-05-5 の例だけでいいんでは…
  • 231 マイクロミリ秒
  • 232 setTimeout 慣れれば
  • 255 上でした 示した?
  • 255 ここの catch 節だけK&R風(catch のあとにスペースあり)。筆者も意識してない?
  • 321 発せされます 正しくは「発されます」かな。このページだけで4箇所はある。
  • 323 イベントの伝播 は前の話!
  • 337 何を関数なのか
  • 339 マルチププロセス
  • 348 'use strict' セミコロン抜け
  • 382 マンドライン

Webを支える技術

なんと 2020/11/4 - 2024/4/29 で読了。
お世話になってる人からいわゆる借りパクしてて、もはやいつから読みはじめたかも覚えてなかったのだが、付箋のメモで開始日がわかった。
けっこうな分量の本ですが、誤字や脱字はなく、丁寧に作られた技術書という印象を受けました。

自分の本じゃないから書き込みできない&返さないといけないので、「へぇ~」と思ったとこをメモりながら読んでた。
ので、あんまり意味ないけど時系列を添えて残しとく。

2020年

11月4日

  • 一応開きはしたようだがメモなし

2021年

2月27日

第1部 Web概論

第1章 Webとは何か

第2章 Webの歴史

  • 9 Kernighan カーニハン神からのローマ字あいさつ!
  • 10 Memex by Vannevar Bush
  • 10 Xanadu by Ted Nelson
    「X」付けたかったんかな?
  • 12 Nelson から見るとWebは「不完全なハイパーメディア」。リンクが単方向、リンク切れの可能性があるなどが理由。
  • 14 RPC は Application State 問題がある
  • 15 1993年、Mosaic 誕生!
  • 17 単方向リンクという簡潔さゆえに普及
  • 19 Roy Fielding が博士論文で REST を命名! 知らなんだ。
  • 21 「何の略でもなく単にSOAPである」w
  • 23 否定派からは「RESTはおもちゃ」とまで言われていた

第3章 REST ── Webのアーキテクチャスタイル

  • 26 Client/Server + 制約 = REST
  • 26 アーキテクチャスタイル > アーキテクチャ > 実装 の解説が丁寧
  • 29 Addressability
  • 30 Representation
  • 32 サーバはクライアントの状態を持たない。ステートレス
  • 33 cache => cash => $
  • 34 Uniform Client Cache Stateless Server = UC$SS
  • 35 Uniform Layered Client Cache Stateless Server = ULC$SS
  • 36 Uniform Layered Code on Demand Client Cache Stateless Server = ULCODC$SS
  • 37 ULCODC$SS = REST!!

第2部 URI

第4章 URIの仕様

第5章 URIの設計

  • 59 301 Redirect
  • 60 Content Negotiation
  • 62 Matrix URI
  • 64 Opaque

第3部 HTTP

3月21日

第6章 HTTPの基本

  • 73 クライアント≒ユーザエージェント
  • 74 HTTP は同期型プロトコル
  • 79 ヘッダ+空行+ボディ
  • 82 ハンバーガーショップでアプリケーション状態(≒セッション状態)の説明。わかりやすい
  • 83 Self Descriptive Message

第7章 HTTPメソッド

  • 89 表7.2 POST/GET/PUT/DELETE の行に CRUD 付けたほうが見やすいかも?
  • 93 「ほかのメソッドでは実現できない機能は POST で代用」。キーワードが長すぎる場合など。
  • 95 POST/PUT 使い分け指針
  • 101 べき等と安全性。用語は小難しいが概念は超簡単。

第8章 ステータスコード

  • 111 弾さんブログの紹介w
  • 113 知らない 4xx が来たら 400 と同じ扱いとする

第9章 HTTPヘッダ

  • 126 RFC 822 からのバッドノウハウ。7bit ASCII しか使えないため
  • 132 qvalue メディアタイプの優先順位。デフォルトは1
  • 148 ETag
  • 150 Bエンコーディング
  • 151 HTTPヘッダを使いこなすには、電子メールなどの歴史を調べる必要がある

第4部 ハイパーメディアフォーマット

3月22日

ここが長かった。

第10章 HTML

4月4日

  • 162 ol = ordered list, ul = unordered list かな
  • 172 プログラムにリンクの意味を理解させるための仕組み
  • 172 rel属性 = relation
    略語の元の単語も書いてほしい!

第11章 microformats

6月27日

  • 180 ここから再開(メモなし)

2024年

第4部(承前)

4月8日

第12章 Atom

4月20日

4月28日

第13章 Atom Publishing Protocol

知識の羅列が続いて眠い。

第14章 JSON

やっと楽なとこ来たw

第5部 Webサービスの設計

第15章 読み取り専用のWebサービスの設計

  • 242 WebサービスとWeb APIを分けて考えないことが大切
    p.310 にも同様の記述あり、計3回言ってる。
  • 243 「リソース設計にはまだ一般的な設計手法が存在しません」2010年の執筆当時はということかも?
  • 245 アドレス可能性 > 接続性 > 統一インタフェース > ステートレス性 という優先順位。なるほど
  • 251 XML では「独自フォーマットを作り出さない」ことが重要
  • 267 リソース設計はスキル。身につけられる

4月29日(月祝!)

第16章 書き込み可能なWebサービスの設計

  • 269 ファクトリリソース
  • 273 バルク/パーシャルアップデート
  • 279 リソース状態とセッション状態は別物
  • 290 楽観的ロック (Optimistic Lock) の考え方

第17章 リソースの設計

  • 299 各リソースを自己記述的にするため、あえて正規化を崩す

付録

付録A ステータスコード一覧

  • 319 302 Found 使われなくなった。へー!

付録B HTTPヘッダ一覧

  • 337 Expect ヘッダの用途狭っ。こら実装したくなそう
  • 338 Referer 英語としては Referrer が正しいが歴史的理由でこうなった!w
  • 340 Content-Location => Canonical URI
  • 346 If-Range ヘッダ、Range とセットってのが無理矢理感あってわかりにくいな
  • 359 Alan Kay の有名な言葉で美しく〆!

    The best way to predict the future is to invent it.

ペスト

2024/3/13 - 4/22 で読了。
コロナ禍初期に買って、例によって数年積んでて、(『ありきたりの狂気の物語』で存在を思い出して)今回やっと読めた。
重厚な大作だがむちゃくちゃ面白く、はたして人間にこんな凄いものが書けるのか…!?と圧倒されっぱなしであった。

悪質な感染症の蔓延という一種の極限状態に置かれた人間たち、それぞれの葛藤や変容。終わりが見えない苦闘の中で疲弊・麻痺していく心身、希望と絶望のせめぎ合いなどの描写がたいへん迫真的。人間に対する洞察の鋭さ・深さと筆力が凄すぎ、古典的名作とされてきたのもうなずけた。1947年の刊か。
そして「ああ、『シーシュポスの神話』の作者か!」と納得した。「でもやるんだよっ」精神。
さらに、同著者の最後の作品が『最初の人間』(残念ながら未完。宮崎嶺雄氏による1969年の解説では『最初の人』となっている)であった、というのもまったく自然な、これ以上ないほど「正しい」ことのように思われるのである。

三島由紀夫の端正な文章に衝撃を受けた時をちょっと思い出した。あっちは原語でこっちは翻訳という違いはあるが。
やたらと長い・複雑な文では中上健次も思い出したがw
大岡昇平『野火』の印象も思い出した。科学技術が未発達な、現代からはある種「野蛮」と見なしてしまいそうな時代においても、人間は十分に繊細で思索的であったのだなという。

しびれたところメモ

多すぎて抜粋するだけでも大変。

  • 7 時間と反省がないままに
    渋すぎやろもう出だしから!w
  • 9 美観もなく、植物もなく、精神もないこの町
  • 24 癤瘡(ねぶと)
  • 27 「最も簡単な言葉で話すくせに、いつも言葉を捜しながらしゃべっているように見えた」グラン
  • 32 一陽来復
  • 35 人づきがよく
  • 36 タルーの説明おもろすぎるぜカミュ兄さん!「愚劣な都市計画などについての好意的な考察」ww
  • 39 艀舟(はしけ)
  • 53 「世論というやつは、神聖なんだ」引用されてそうな台詞
  • 54 ペスト、襲来
  • 55 戦争は「長くは続かないだろう、あまりにもばかげたことだから」と言われる、しかし…
  • 56 人間中心主義者(ヒューマニスト)の陥穽。
    人類の正常性バイアスの話。現代人はもっと学んでいる?
  • 59 もし人間が同時に幸福かつ陰鬱でありうるものなら
  • 64 「一人の人間の個性の伸長に関する何か」w
  • 67 「いいうべくんば」!
  • 76 ペスト会議。論点についての議論、面白い
  • 103 不安を予期して回避しようとする人間の繊細さ。ここで『野火』を思い出した
  • 104 ペスト=嫌なルートに閉じ込めて後悔させる装置 でもあるな。
    こっから妙に「うべな」う多いw
  • 106 みずからの感情を一種熱病めいた客観性をもって考察
  • 109 あり来たりの感動や市販の商品みたいな悲しみや、十把ひとからげの憂鬱
  • 132 同情がむだである場合、人は同情にも疲れてしまう
  • 143 パナルー、雄弁な詭弁
  • 149 「出版屋の連中も事務所では帽子をかぶっていない」w
  • 150 接続詞に悩むグランに共感
  • 153 「この文章を常套的なものに、わずかながらとはいえ、ともかくも近づけている」良い批評w
  • 155 はなはだしい嫌忌をもって
  • 156 形式屋、方式屋、慣例屋
  • 161 愛⇒所有
  • 164 病疫による大きな革命
  • 169 災禍の初めとそれが終ったときとには、人々は常に多少の修辞を行うものだ。第一の場合には、習慣がまだ失われていないのであり、第二の場合には、習慣が早くも回復されているのである
  • 171 「浮世離れのした生活」!
  • 175 《当店では、食器は煮沸済みです》
  • 176 ラヴァリエール・ネクタイ
  • 192 「美しい行為に過大の重要さを認めることは、結局、間接の力強い賛辞を悪にささげることになる」ww
  • 193 最も救いのない悪徳とは、自らすべてを知っていると信じ、そこで自ら人を殺す権利を認めるような無知の、悪徳にほかならぬのである
  • 197 グランの造形も見事と言うよりほかない。
  • 201 仕事は上の空、社会奉仕に精を出し、創作にうつつを抜かす。わかる。Nowhere Man のようでもある
  • 203 「慣例的な言葉」にイライラする現場の医師
  • 229 「アルコール飲料がまだ出されている」当時から「自粛」という概念があったとは!
  • 245 これは誠実さの問題なんです。
  • 249 「それでもまだ俺以上に束縛されている者があるのだ」
  • 255 寂しい埋葬。コロナ禍でも同様であったろう
  • 259 終局的な混交
  • 265 通り過ぎる道のすべてのものを踏みつぶして行く、はてしない足踏み
  • 267 ペストが常態になり無感動になった人々。
  • 273 「罪悪か処罰のようにみのりのない」愛
  • 275 絶望して考えなくなった人々
  • 280 (人情が)毎日また同じことを始めるために役立っていた
  • 282 僥倖は誰の味方でもない
  • 283 「コタールとペストとの関係」。「希望は、疫病。」みたいなもんか
  • 287 身の不ため
    半ズボンのボタン一つなくしたことを嘆き悲しむような彼らの感受性
  • 293 かつて、いっときも時代錯誤でなかったことはないにもかかわらず
  • 307 しかし、自分一人が幸福になるということは、恥ずべきことかもしれないんです
  • 325 このへんカラマーゾフちっく
  • 327 「奇妙な計算を根拠としていた」。ノストラダムス!「その複雑さからあらゆる解釈が許されるような一連の出来事」w
  • 332 操持
  • 335 聾(みみし)いて
  • 336 「道学者」当時知られてたのか。
  • 347 みんなが忘れたいと思っている闖入者
  • 351 ある種の示威
  • 368 最も卑劣な殺人
  • 373 天然のペストから人為的なペストへ。凄い
  • 374 僕はこの頑強な盲目的態度を選んだのだ
  • 387 ある言葉づかいなど、忘れてしまっているものがあったのである
  • 395 福音としての鼠
  • 409 彼女はただ、ふだんよりも少し余計に自分を目立たせぬようにしただけであり
  • 415 人間が意気地なしになるような時刻が、昼夜ともに、必ずあるものだし、自分が恐れるのはそういう時刻だけだ
  • 440 幸福のあらゆる誇らしさと不法さをもって
  • 445 人間を越えて、自分にも想像さえつかぬような何ものかに目を向けていた人々すべてに対しては、答えはついに来なかった。

入門 Python 3

2022/5/1-6/19、9/19、2023/12/19、2024/3/30-4/7 で読了。やっと。
今後ビッグデータとかやるかもしれんし、連休中に流行りの言語マスターしたんねん!と読みはじめ、「8章 データの行き先」まではダーッと行ったが9章からやや失速。それでも11章までは9月に終えてたが、その後「12章 パイソニスタになろう」から再開するまで15か月も空けてしまってた。
んで結局その間使う機会もほぼなく、細かいとこはほとんど忘れてしまったw

約570ページもの大著。しかし内容は詳しく丁寧…ではなく、広く浅く Python でできることをとにかく一通り説明し切る、という方針で書かれている印象を受けた。
それでもこの分量になってしまうというのが恐ろしい。それだけ Python が巨大な開発環境、一大人気プラットフォームに成長したということだろう。まさに大蛇(Anaconda)? Ruby 好きとしてはやや寂しくもある。
しかもこの初版が出たのは8年以上前。いまはもっとライブラリも増えてそうである。

広く浅くと書いたが、いやそれゆえにか、プログラミング初学者には難しいと思う。裏表紙に「プログラミングが初めてという人を対象に書かれた、Pythonの入門書です。」とあるが……いきなりこの本から始めるとわけがわからず挫折するかも?
私はすでに他言語でオブジェクト指向、文字列、正規表現、辞書(ハッシュ)、イテレータ、スライス、クロージャ、ラムダ、スレッド、例外…といったプログラミングにまつわる諸概念を習得しているので、「こんなとき、Python ではどう書くの?」と言語仕様を確認していく作業(そしてその大部分に驚きはない)という感じで、そこは楽だった。新鮮味あったのは「リスト内包表記」ぐらいか、でもこれも syntax sugar であり高級言語がさらに高級化したのねと理解すれば済む。

なので、初学者はこの本で一気に Python プログラミングを習得しようとするのではなく、目の前の課題(練習問題か研修か仕事か)に取り組みつつ、必要に応じて参照する、ぐらいがいいような気がする。まあすごいやる気あって初見の概念も独学できるような頼もしい人なら大丈夫でしょうが。

それにしても、人によっては苦手であろう表紙のいかついアミメニシキヘビの絵も、読み終えてみるとかわいく見えてくるから不思議である。

残念ながら誤記っぽいところ

2015/12/1 初版第1刷、私が持ってるのは 2017/10/3 初版第7刷だが、これは誤記やろ~と思うところがいくつかあったので記録しときます。
(こういうのももう機械学習で検出できるようになってそうだが?)

  • p.364 図11-1 左下の箱は REQ でなく REP では?
  • p.408 エラメッセージ 脱字。
  • p.453 Sumlight API Sunlight の誤字。

その他感想

p.464 0 の階乗が 1 とは知らなんだ! 習ったっけ?

終盤の「付録C 科学におけるPy」に今日やっと到達したら、最近勉強してるとよく出てくる NumPy、SciKit、Pandas などが総登場してきて、ちょっと伏線が繋がったような嬉しさがあった。

ネコの手も貸したい

Twitter で見かけて面白そうと思って 2018/9/1 に買ったが、長年積んでしまってた。
2024/1/16 - 3/24 家でゆっくり読了。(I Will Survive の手前でまた2か月ほど寝かしてた)

面白かった。リットーミュージック発行というのも「教則本」ぽくていい。

私は「職業作詞家」を目指したことはなく、今後なる可能性もほぼ 0 だろう。自分には縁遠い世界の話なので気楽に読める…のだが、(あまり)知らない曲の解説だと一応どんな曲か知っとかねば、と聞いてから読むのでけっこう時間かかった。(とはいえ YouTube がある現代はありがたい)

漢字やカナの使い分け、譜割りの考え方はなるほどーという感じだが、まあ想定内。しかし歌手の特性に合わせた歌いやすさや、響きの強弱も考慮して母音・子音を選ぶというところはさすがプロ!と感心した。
私も売文家…ではないけど、自分が書く文章には人一倍(どころかほぼ病的に)こだわってしまう性癖がある。単なる仕事上の連絡メールでも、言葉選び、語順、改行や句読点の位置とかでゴニョゴニョ悩んでしまうことが少なくない。ほとんど誰からも理解も評価もされない悪癖に近いものであろうが、「言葉にこだわってええんや!」という(錯覚かもしれない)励ましを得られた気がする。

やしきたかじん「東京」は、もともとは畠田理恵さんが歌う予定だった(p.67)というのがびっくり。こういう業界驚きネタもこの本にはいっぱい出てくる。

残酷な天使のテーゼ」の歌詞は作品をろくに知らない状態で作った、という有名なエピソードは知ってたが、及川さんが作詞することになったのも高橋洋子さんが歌うことになったのも「偶然」、というのがすごい。そこから歴史的な名曲が生まれたというのが。

巻末の「及川眠子 全作品リスト」の量に圧倒される。2018年6月時点で、舞台やCM向けのも合わせると千曲以上!
というか「いっとうしょうたいそう」も及川さん作詞やったとは。我々はみんな眠子さんの歌詞を聴いて育った、と言えるかもしれない。

見つけてしまった衍字?

p.61 しまったりすれば かな。