1週間前。丸善に『広島カープ誕生物語』が置いてなく、かわりに別の赤い本を買って帰った。
さっき読みました。
近藤ようこ先生24歳の時の短編集。
言葉をできるだけ削ぎ落としたような、静かで詩的なお話たちでした。かっこいい。
全体的に「ガロ」っぽく、「ガロで読みました」みたいに言われることも多いそうなのだが、ガロ(原稿料なし!)に描いたことはなかったらしい。(でもこの本は青林工藝舎から出てる)
性的にブイブイいわしてるわけではないが肉体的・社会的には間違いなく女、みたいな女性たちが主人公。1982年3月のあとがき(2015年6月のあとがきも併録されてます)に“去勢された女”というテーマが語られており、なるほどなあと思った。
「子宮感覚」的な言葉は男の妄想、しかし自分の中の女性性に回帰=同化しないと「全き女性」になれない、といったような観念が作者にはあって、それを読んで妙に安心した。私自身いわゆるマッチョではない、「全き男性」ではまったくない(草食男子?w)、でも「ソープへ行」かないと「小僧ども」は「大人」になれないのか*1・・みたいな感覚が昔からあったので。
・・ああ、でも「文学」って昔からそういうものかも。
個別の感想
「逆髪」これもちょっとホラー。
「籠りの冬」静かでいい。インターネット前、戦後、という時代も感じる。
「とりこの鳥子」意外性あって面白い。
「夏休み」思春期っぽくていい。
*1:今なら「んなわきゃーない」と言える