武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

経済政策で人は死ぬか?

きくまこ先生ら有識者たちがたしか薦めていて、買って積んでた本。2020/5/3、帰省中にやっと読了。

原題 THE BODY ECONOMIC を大胆に意訳した邦題、の問いに対する答えは明瞭で帯にも書いてある:「緊縮策は死者を増やす!」

内容はまさにその一文に尽きる。まずい経済政策はめっちゃ人を殺す。

アジア通貨危機リーマンショックの被害は甚大だった、が、それだけで即病人や死者が増えるわけではない。マレーシアやアイスランドIMF(この本ではほぼ死ね死ね団)の悪魔的指示に従わず、国民の健康を守ることに成功した。対してIMFの言いなりになったタイ、インドネシアギリシャは生き地獄と化し…という各国の盛衰をわかりやすく解説した熱い本。

緊縮は悪。事実に基づかないイデオロギー、神話に過ぎない。公衆衛生、失業対策の強化が一番大事でお得。という啓蒙書である。(大恐慌に対するニューディール政策、つまり1930年代にすでにわかってたことなのだが)

具体例が豊富で臨場感と説得力ある。が、主張は同じなので読み通すのはしんどいと感じるかも(書くのはもっと大変でしょうが)。時間ないって人はまず「結論」だけでも読めばいいと思う。

コロナ対策でたかが10万の給付金すらまともに払えないような国の政治家の課題図書にしたい本である。BIの実験も兼ねてぱぱっと配ればいいのに。