2020/2/24読了。マイ初デネットってことで軽めのにしてみたが、正月に読みはじめてけっこうかかってしまった。
哲学の啓蒙書だが、驚いたことに、面白かった。
意識とは、思考とは、動物に心はあるのか、痛みと苦しみの違いは、といった「心」にまつわるエトセトラを、様々な角度から、いろんな知見を交えて考察・整理した本。読んだ私は「結局わかりませんでした」なのだが、なんというか、世界にはまだまだ考えるべきことがある、という淡い期待のような感覚を持てた。
難しい、なかなか理解できない文章も中にはあるが、それは訳が悪いのではなく、そもそも難しい概念を述べているから。訳は非常に推敲されていてむしろ読みやすい。誤字脱字などもちろん一つもない。こういうしっかりした文章を読むと嬉しくなる。
訳者あとがきでは「一章、二章は専門家向けなんでとりあえず飛ばしていい」みたいに書いてあるが、序盤も十分興味深かった。そしてこのあとがき、痺れるほど明晰でかっこいい。これを最初に読めばよかったw
哲学者は、反科学者ではなく、むしろ、科学をリードする役割を持ってきたのである。