武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

アフターデジタル

2020/2/7、千代田区出張の往復ののぞみで読了。

最近たまたま著者の発言に触れる機会があり、こういう話も知っとかなあかんよなあ職掌柄。立場上。ということで買って読んでみた。

先進事例が豊富で面白く、参考になりました。

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

 

本書で繰り返し出てくる用語が OMO = Online Merges with Offline。いまやオンライン(データ)が主体で、オフライン(現実)はその一部に過ぎない、みたいな世界観。ソフトウェア技術者の言う透過性、仮想化などの視点で商取引を捉えたような感じで、すんなり理解できた。(ただ、Off も On もどっちもOなのでわかりづらい。Web M Real とかでもよかったんでは)

ケン・リュウの小説にあるような、意識をアップロードしてクラウド界の住人に!みたいな世界を連想して拒否反応示す人もいそうだが、そこまで哲学的な話ではない。先端技術をどう活用したら商売繁盛するか、「三方良し」できるか?!というプラクティカルな話である。

著者の藤井さんが上海在住ということで、中国のアリババ vs テンセント両陣営が繰り出す様々な商法の事例解説が多い。印象に残ってる点をざっくり挙げると:

  • 顧客の購買・行動データをガンガン取り、高速にUXを改善する企業が勝ってる
  • オンラインが主とはいえ、リアルは貴重な接点
  • 店を見せて魅せる、フーマー、スターバックス
  • 芝麻信用による評価経済が(ディストピア性あるとはいえ)社会を改善してる

ロングテール(もう15年ぐらい前?!)、ビッグデータ(これも10年ぐらい前か)、IoT、AIなどに連なる話で、驚愕の未来社会!という印象はないが、人材と資金があればそれだけ壮大な設計・実装ができるんやなあと感心した。(さて俺らはどうしていくか……)

 

内容はいいとして、誤字脱字、表記揺れ、係り受け不正などがまさに「高頻度」で、いっぱい×印を書きつつ読むことになり面倒であった。

多すぎるのでいちいち書かないが、遍在を「偏在」と誤記ってるのはさすがにまずいと思う(売春と買春ぐらい違う)。最初は誤変換かと思ったが、3か所以上出てきて全部それ、つまり確信犯。定番「誤用すべからく」もあり。共著者2人は東大京大なのだが…。

誤字レベルじゃなく、ほんまに意味不明な一文もあった。

つまり平安保険は、彼らの経済圏や世界観に顧客をオンボードさせるための信頼とインストラクションを、人というリアル接点で行っているのです。(p.50)

信頼獲得とインタラクション??

日経BPはノーチェックで出してると思われる。こういう本はいわゆる「スピード感」が命で、細かいことは気にすんな!乗るしかないこのビッグウェーブ!てことなのかもしれんが。もったいないなあ。