武書房

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最貧困女子

2019/4/21読了。IPA試験から卒業すると楽である。

最貧困女子 (幻冬舎新書)

最貧困女子 (幻冬舎新書)

 

性産業に従事する多数の女性たちに取材し、文字通り「底辺」付近でもがく彼女たちの絶望的な貧困・窮状を少しでも可視化しようとする試みの書。最後に、打開に向けた著者なりの(「稚拙な」と何度も断りつつの)提言もある。目を背けたくなるような惨状もあるが、センセーショナルなのでぐんぐん読めてしまう。「娘を中学生の時から強姦し続けても無罪」という奇怪な判決が話題になってるいまこそ読まれるべき。

こないだ観た『岬の兄妹』のような救いのない話が世の中にはいくらでも実在するということを思い知らされる。いや、あれは妹が「かわいい」からまだマシとも言える…。

無知で鈍感な男が言いがちな「自己責任」論、「売春は儲かる」なんて戯れ言は、彼女らが置かれた圧倒的に「ハードモード」「無理ゲー」な人生を見ると瞬殺されるだろう。

正義感に駆られつつも全体的には著者の筆致は淡々としてるが、p.112 "最低最悪のセーフティネット「買春男」" では一気に語気が荒くなる。未成年者を買っていびつな性欲を満たしてるだけの卑怯者のくせに、あたかも自分らが福祉の一端を担ってるかのような詭弁をぬかすおっさんどもに対し「最低の自己満足」と断罪。私も機会があればそのおっさん側に堕ちてしまうポテンシャルは持ってるので、ここは肝に銘じねばならない。

まえがきで引用されている『ピカッ子ちゃん』の一節。こういう心を持って生きたい。

「世の中の、誰にも世話をしてもらえない人をこそ、親切に世話をしてあげたいものだなあ」