2019/1/20やっと読了。買って3年ほど積んでたし、読みはじめてからも8か月近くもかかってしまった。
オートメーション・バカ -先端技術がわたしたちにしていること-
- 作者: ニコラス・G・カー,篠儀直子
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2014/12/25
- メディア: 単行本
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「何でも機械任せにすると人間退化するで」という一見ラダイト的、「ゲーム脳」っぽい退行的主張のように思えてしまうが、豊富な研究の具体例、専門家の知見をちりばめた冷静かつ時に情熱的な論述はなかなかの説得力を持ち、新しいもの=いいものという我々のナイーヴさを撃つ。
ハイテクやコンピュータ技術をすべて否定してるわけではもちろんない。「手になじむ」道具、人間の能力を拡張するテクノロジーは人間にとって有益なのだ(なんせ著者は READ DEAD REDEMPTION を愛好するゲーマーでもある)。しかし判断力、想像力、何より適応力を無用化するような技術は危険だと著者は繰り返し警告する。それは道具の設計者≒ビッグブラザーに支配される道だ!フロー状態を取り戻せ!!
…という啓示を、著者ニコラス・G・カーは英文学専攻だけあって詩的に歌うように宣べてくれる。その「リズムや韻に工夫が凝らされてい」る文体は訳者あとがきで「日本語訳のなかで完璧に再現するのは難しい」と書かれてるが、いやいやこの訳も美しい、自然で読みやすい文章でした。誤字脱字が一つもないのもいまどき貴重ですばらしい。
ただそのゲームのネタバレあったのはいただけない……