武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

去年を待ちながら〔新訳版〕

去年山形さんが新訳を出されていた。たぶんまだ読んでないはずってことで買った。

2018/7/22、『未来のミライ』を観た夜に読了。

服むと時間移動(精神だけでなく物理的にも?!)できる「JJ-180」というドラッグを中心に展開する、壮大な星間戦争サスペンスかつ冷え切った夫婦仲の顛末!

なんせ平行宇宙が舞台なので過去も未来もどうとでもなり得る、最後までどうなるかわからないのが面白い。

地球と三つ巴で争う宇宙人、「リリスター」「リーグ」などがいきなり説明なしに出てきて戸惑うが、そのへんは例によって読んでるうちにわかると信じて流すとよいでしょう。カプセルを3分割して期間調整するとか、「解毒剤の解毒剤」とか、かなり無茶な展開もあるがw。

主人公エリックの妻キャシーを筆頭に、女性は相当モンスター的に描かれている。これは作者ディックが当時体験してた妻とのイザコザをあからさまに作品に投影してたからであり、うんすげえわかるーとも思うが、やはり女性が読んだら不快に感じたりするのだろうか。愛憎強くせめぎ合う感じではあるが、決して対等ではない。珍しく主人公(男)がダメ人間じゃなくエリートっぽいしな……

 

ちなみに「作者」に土井宏明さんの名前もあるけど、これはデザインの人ですね。(ハヤカワSF Tシャツの宣伝で名前を見かけて知った)