武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

歴史修正主義とサブカルチャー

Twitterでマスダ先生が絶賛されてたので購入、2018/4/22読了。

ソフトカバーのわりに内容はなかなか硬派でした。

歴史修正主義とサブカルチャー (青弓社ライブラリー)

歴史修正主義とサブカルチャー (青弓社ライブラリー)

 

ネトウヨや「日本スゴイ番組」などに象徴される昨今の歴史修正主義、排外主義の跋扈に対し、反知性主義(≒アホ)」「想像力の欠如(≒バカ)」「民度の劣化、嘆かわしい」で済ませるのではなく、なぜ「彼ら」はそこまで力を持ってしまったのか?を、複数メディアを横断する「コンバージェンス文化」という視点で分析しようとする意欲的な試み。「冷静に敵の手口を見極めよう」ということ。自分の2~3学年下の人がこんなしっかりした仕事をされてることに襟を正させられる思いで読みました。

ヘンリー・ジェンキンスが唱えた「コンバージェンス」という概念が最初に軽く紹介され、もしや(IT業界の一部ではおなじみの単語ではあるが)目新しい学説を輸入して言い換えてみるだけなんでは…?とも懸念したが、まったくの杞憂だった。主に90年代の産経周りからの「論壇」の変容を、膨大な資料・文献を調べてしぶとく解析していく。マルコポーロ』廃刊は同時代で見てたけど、ゴーマニズム宣言』がそこまでネトウヨ養成に貢献してたとはなー。全然読んでなくて知らんかった。

多少アカデミックな語法は出てくるけど、必要に応じてという感じで、難解で読みづらいというほどではない。無駄にアマルガムとか言わない。「エピステーメー」は出てくるw(括弧つき)。

あとつまらん意見ではあるが、誤字・脱字、主語述語の不対応といった瑕疵が「一つも見当たらなかった」。これは当たり前ではなく、けっこうすごいと思う(最近の本は誤字脱字がないのを挙げるほうが難しい)。丁寧に書かれてる証拠だと思う。