武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

服従の心理

山形さんによる新訳版が出たというので買って、何年積んでただろうか。

2回目の広島→福岡引っ越しを挟み、2018/4/14やっと読了。

服従の心理 (河出文庫)

服従の心理 (河出文庫)

 

超絶有名な通称アイヒマン実験(と呼ぶのは的確ではないとミルグラム自身が本書で書いてる)の全貌とその後日談の記録。

むちゃくちゃ面白かった。実験の一発目ですでに衝撃的な結果が出て、その後各種パラメータを変えた比較実験の連打・・でややダレかけたが、最終的に「結局どの条件が支配的なのか」を考察するために必要なので読んどいたほうがいい。ともかく、その周到な実験設計と実行力に感心してしまう。思いつくのがまず天才として、こんだけやり切るのも凄いことやで。

現代ではこんな大がかりなドッキリ実験難しいやろなーと思う、すぐSNSで拡散されてしまうから。

おなじみ「訳者あとがき」は一般的な解釈がわかりやすくまとめられていて、歴史的な名著を読んでためになった感が味わえる。唐突に出てきて異物感やばかった「オートマトン」へのつっこみもあって安心w。

そして「蛇足」では一転、そもそもこの実験の前提に対する批判的考察が加えられる。必然的に結果の解釈も変わってくる。現代人はここも含めて読むべきでしょう。

 

個人的には、たまたま今年の新入社員に「社会心理学」専攻の子がいて、この本の話をできたのも良かった。