武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

松田洋子『相羽奈美の犬(全)』

毎週恒例、松田先生の漫画の時間です。

相羽奈美の犬(全) (ビームコミックス)

相羽奈美の犬(全) (ビームコミックス)

 

タイトルの(全)は「完全版」を意味するようです。(ということは不完全版も以前出てたのでしょう)

相羽奈美(あいわなみ)というヒロインのやや不自然な名前は、ピストルズ(阿部さんの小説じゃなくセックスの方)の "I wanna be me" から取ったんじゃないかと私は勝手に思いました。ちょっと無理あるかもやけど、作中にやたらピストルズネタ出てくるし。(Anarchy~に "no dogs body" みたいな歌詞もあったし。もしや雷造は・・ライドン?!)

 

ギャグ1/4、ホラー1/4、恋愛1/4、ストーカーの鬱屈した愛1/4、人間賛歌1/4、といった趣。絵だけ見ると黒っぽくて怖そうやけど、『笑ゥせぇるすまん』のようなブラックユーモアちゅうのか、 ギャグの要素が強いからぐんぐん読めてしまう。

そしてなんせ、奈美が可愛いから。も~松田先生、社会の闇じゃなくてたまには普通の学園ラブコメでも描いてくれりゃいいのに!!

…それTVエヴァ最終回に見えてしまいそうだが。そしてそういうのだけの作品なら「あーオタク向けの(萌え)漫画ね」って素通りしてしまうのだろうなあ。

というほどに、やはりこの作品も「普通のラブコメ」ではない。(例によって)登場人物は全員家庭崩壊してる。

闇があるからこそ光のありがたみが際立つということなのかもな。

あ、一応「スポーツ万能、成績優秀、性格もいい爽やかイケメン、ついでに家族も仲良し」な謎キャラ・雷造も出てくるけど、ヤツはちゃんと「UMA」として描かれてる。作者の誠意を感じます。

ただ一応主人公のニート少年もホスト風優男なんやけどね、『私を連れて~』の央治系の。どうせ犬になるんなら別にもっとキモオタ風でもええやんとも思うけど、それはさすがに夢がないってことなのか、女性作家としては・・

 

あとやっぱり松田先生は人魚姫が好きなんやなあと思いました。