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武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

PKD初長篇

黒い表紙のこの本を読みました。

偶然世界 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-2)

偶然世界 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-2)

 

カラフルで魅力的な登場人物たち、洗練された台詞、複雑に絡み合うそれぞれの思惑・・最後までどうなるか、誰が「敵」で誰が「味方」なのかもよくわからない。最初の長篇とは思えないほどの完成度でした。

 

原題は Solar Lottery。直訳すると「太陽宝くじ」か。

舞台は23世紀初頭。地球では「ボトル」(ほぼ説明なし。中央コンピュータみたいなもんか)がランダムに最高権力者=「クイズマスター」を選び出す「トイッチ(twitch)」という統治システムを採用していた。クイズマスターにはミュータント人類「ティープ」が従者としてつく、が、公募で選ばれる「刺客」に命を狙われることにもなる。という不条理な制度。

ティープ族には「思語」を送受信できる能力(いわゆるテレパシー、動詞もティープ)があるため、なみの刺客の挑戦なら防御できる。

しかし、そこに先代クイズマスター・ヴェリックの部下、ハーブ・ムーアが不確定性原理ミニマックス法に基づく「Mゲーム」理論を武器に、刺客を送り込む・・

 

もうどういうことやねん!という設定が連打され、ついていくのが大変。

ペリグの操縦ってどういう仕組みなん?宇宙のどこまで届くの?とか強引なところは多々ある。

クイズマスターとか言ってるけど別にクイズしてないし。

 

しかし

「社会に適応できない自分は狂ってるのか、それともこの社会が狂ってるのか?」

「自分は何者か? 他人と入れ替わったらどうなるのか?」

といった、PKD作品で繰り返し語られるテーマは、この時既に鳴り響いている。

面白かった。

 

あと40年近く前とはいえ、小尾さんの訳はさすがスムーズで読みやすかった。