武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

シャンペン・スパイ

2015/1/31に読みはじめ、ずっと積んでて、2回目の広島引っ越し後再開、2018/4/21やっと読了。

ノビー読者にはおなじみ『モサド、その真実』の人の自伝です。

シャンペン・スパイ (ハヤカワ文庫 NF (116))

シャンペン・スパイ (ハヤカワ文庫 NF (116))

 

導入部の主要登場人物たちが次々出てくるところはしんどかったが(名前覚えられへん)、エジプトでのスパイ活動が本格化してからは面白すぎて止まらず、路面電車の中で立っててもつい読んでしまうほど。

能やん!浄瑠璃やん!スパイ映画やん!!な華やか煌びやか波瀾万丈なスパイ人生が惜しげもなく語られる(100%事実かはともかく)。凄すぎる。

著者の強靭な精神力、行動力、判断力もさることながら、いつ誰が何を話したとかの記憶力も凄い。多少の脚色や改変もあるのかもしれんが、物・事・人すべてにおける博覧強記というか。さすが「世界最強のイスラエル諜報機関」やでえ・・・

最愛のパートナー、ウォルトロードの活躍ぶりも眩しい。あまりにも映画的なお二人。

エピローグまでしっかり感動的。この人物の偉大さ、使命感、人類愛が表れている。

スパイや馬の育種家にはならへんにしても、この人のように誇り高く生きたいと思う。

熊とワルツを

2018/4/18、半年越しでやっと読了。 

熊とワルツを - リスクを愉しむプロジェクト管理

熊とワルツを - リスクを愉しむプロジェクト管理

 

さすがデマルコ師、面白くて読みやすく、ためになる内容でした。身につまされる・あるあるデスマーチ事例も豊富。まったく、ソフト業界って未だにカミカゼ精神はびこってるよねー。

・・・で終わってはいけないこの本は。プロジェクトを進める上で避けて通れないリスクを「管理(manage)」する手法、この本流に言えば「おとな」の作法について、かなり具体的に(Excelのツールまで公開して)説明している。

読むは易し、実践するのはわりと大変そう(そもそもそのようなリスク分析の期間や再評価プロセス自体設けられてないことも多い)。しかし実践しなければ、読んで行動が変わらなければ意味がない。

いきなり全部実行するのは無理でも、まずは「成り行き任せ、面倒なことは先延ばし」になりがちな性向を改めねば。イヤなこと(=リスク)を直視・予想・評価し、早めに対策を打っていかねば。

俺ももうともすればマネージャとか呼ばれかねない立派なおっさんなのだから。

服従の心理

山形さんによる新訳版が出たというので買って、何年積んでただろうか。

2回目の広島→福岡引っ越しを挟み、2018/4/14やっと読了。

服従の心理 (河出文庫)

服従の心理 (河出文庫)

 

超絶有名な通称アイヒマン実験(と呼ぶのは的確ではないとミルグラム自身が本書で書いてる)の全貌とその後日談の記録。

むちゃくちゃ面白かった。実験の一発目ですでに衝撃的な結果が出て、その後各種パラメータを変えた比較実験の連打・・でややダレかけたが、最終的に「結局どの条件が支配的なのか」を考察するために必要なので読んどいたほうがいい。ともかく、その周到な実験設計と実行力に感心してしまう。思いつくのがまず天才として、こんだけやり切るのも凄いことやで。

現代ではこんな大がかりなドッキリ実験難しいやろなーと思う、すぐSNSで拡散されてしまうから。

おなじみ「訳者あとがき」は一般的な解釈がわかりやすくまとめられていて、歴史的な名著を読んでためになった感が味わえる。唐突に出てきて異物感やばかった「オートマトン」へのつっこみもあって安心w。

そして「蛇足」では一転、そもそもこの実験の前提に対する批判的考察が加えられる。必然的に結果の解釈も変わってくる。現代人はここも含めて読むべきでしょう。

 

個人的には、たまたま今年の新入社員に「社会心理学」専攻の子がいて、この本の話をできたのも良かった。

ディファレンス・エンジン

2017/5/7読了。

ディファレンス・エンジン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ディファレンス・エンジン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

 

 

ディファレンス・エンジン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

ディファレンス・エンジン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

 

訳は『ニューロマンサー』と同じく黒丸尚(くろまひさし)さんで、だいぶクセのある文体なので、物語に入り込めるまではちょっとしんどいかも。私も上巻の真ん中あたりまでは読みづらかった気がする。

19世紀イギリスが舞台で、バベッジとかエイダとか数学のすごい人たちが出てきていろいろやる、壮大なお話でした。

増補 エロマンガ・スタディーズ: 「快楽装置」としての漫画入門

これも西田藍さま(顕れたアニマ)のご紹介によりポチった、はいいがずっと積んでて…2017/8/19、Uターンの新幹線で読了。

表紙は元のソフトカバー版のほうがいいかも?とも思ったけど、この文庫版のほうが情報が多くて新しい。多彩で広くて深くて暗くて明るいエロマンガ界のエレジー&エナジーに圧倒され、お腹いっぱいになりました。

間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに

西田藍さん(女神)がご紹介なさっていたので買った。

2017/4/24、福岡市地下鉄空港線で読了。

感想はTwitterに書いたのでもういいか。面白かったです。

しいて一つ書くなら「第五章 サブカルと女性」が、岡田あーみん先生ら女性(作家)たちへの敬意が溢れていて、凄く良かった。

すばらしい新世界〔新訳版〕

この歴史的名著も読んだのでした。2017/5/28読了。

大森望さんの新訳で読みやすい。85年(!)も前の話とは思えない面白さでした。

「満足した豚と不満足な人間、どっちがマシか?」という普遍的なテーマ。「幸せな人間」が一番いいけどね。と思ったら、その後ハクスリー自身が「第三の選択肢」に気づいたと訳者あとがきに書いてあって、やっぱりねーと思ったw