武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

女子高生に殺されたい 1,2

久々に兎丸先生の新刊を読んだ。

完結したと知って先日1,2巻合わせて買い、さっき一気読み。

面白かった!!

女子高生に殺されたい 1 (BUNCH COMICS)

女子高生に殺されたい 1 (BUNCH COMICS)

 

主要登場人物は5人だけで、全員キャラがはっきりしていて魅力的。わかりやすい。

佐々木真帆ちゃんもいいけど後藤あおいもいいぞ!

主人公の東山春人(通称ヒガシー、受け身サイコ野郎)が自分と同学年で笑ってしまった。あぶないお年頃や。

女子高生に殺されたい 2 (BUNCH COMICS)

女子高生に殺されたい 2 (BUNCH COMICS)

 

最後、きれいに収束するかと思ったらひと捻りもあり。

●●●●は●なきゃ●●ない(ネタバレになるので伏せ字)という恐るべきお話でした。でも、ん~まあそやろね…という納得感もある。

  

●鷹市、●の頭公園の見覚えある風景も出てきて懐かしかった。

しかし三鷹に遺跡があったなんて全然知らんかったな。

大人のADHD: もっとも身近な発達障害 (ちくま新書)

2016/8/17実家で読了。(類書が非常に多いのでタイトルはフル貼り)

勉強になりました。

大人のADHD: もっとも身近な発達障害 (ちくま新書)

大人のADHD: もっとも身近な発達障害 (ちくま新書)

 

神アイドル・西田藍さんが薦めてらっしゃったので正直スケベ心で読んだのですが、紹介されてるADHDの症例を読んでるとかなり他人事ではなかった。小児期のADHD症状は10歳頃までの私には100%当てはまるw。よくぞ今まで大過なく生きてこられたものだ…。(人生が全体的に大過なんでは?という高尤度仮説はここでは措く)

 

子供のADHD (Attention Deficit Hyperactivity Disorder) は以前からわりと知られてたが、大人でもADHD症状を持ってる人がいることが日本でも最近知られてきた。調査の仕方により前後するが、だいたい人口の3~4%ぐらいはいるとか。

症状としてはASD (Autistic Spectrum Disorder) や鬱病とかぶるところが多いので、誤診されてきた人も多い。ADHDと診断されなかったため適切な処置を受けられない→不適応が改善されず結果的に鬱になる、という痛々しいケースも本書では数多く紹介されている。自傷家庭内暴力に至る人もいて、身につまされるというか、俺がこうなってても全然おかしくなかったで…とつらくなる。「本人も家族も生き地獄」的家庭も多いだろう。

ADHDがASD、鬱、境界例統合失調症などと併発することもあり得る。明確な線引きは難しく、医師(の知識)によっても診断は変わる。

(著者の専門外来などで)適切にADHDと診断されて薬が処方された場合、症状が軽減することも多い。それで社会生活に支障がなくなる(QOL上がる)人を増やしたい救いたい、というのが本書の趣旨と考えられる。

ちなみにADHDは以前は「注意欠多動性障害」と訳されてたが、最近は「注意欠多動性障害」と呼ばれてるそうな。しかし著者は欠陥(今いち)より欠如(ない)の方が酷いんでは?と軽く疑義を呈してる(p.12)。これは私もそう思った。

 

「おわりに」で、ADHDの人は(その「空気読めない」性質ゆえに)閉塞状況を打開する「トリックスター」となり得る、という持論が述べられている。ちょっと願望寄りかもしれないが、そういう面はたしかにありそうな気もする。

「あーもう、この人なんでこんな抜けてる/簡単なことができない/ガサツなの?!」じゃなくて、それはそういう症状(は言いすぎか、特質?)なのかもしれない、本人は真面目にやろうとしてるのかも。という寛容な態度で隣人に接するようにしたいと思った。まあこの自戒、だけじゃなく、社会通念として普及してほしいものですが。

 

勉強になったけど、ちょっと難点

  • 誤字かなり多い。「注意欠陥の実例」としてわざとやってるのか?!と疑ってしまうレベル…んなわきゃーないが。出版社もちゃんとチェックすべき
  • 重複してる内容が多いと感じた。150頁ぐらいに絞れそう。
  • 索引つけてほしいなー
  • p.102 埼玉生まれの「設楽」さんって…仮名にしては珍しすぎるような

ひなごう! おおひなたごう Extra Works

めだつぶ7巻と同時購入。さっき読了。

大学時代、↓でおおひなたごう作品に初めて触れ、 

『ダイレクトキャッチしぐれ』という、ギャグ漫画の描き方を解説する体裁のギャグ漫画というメタな作品で、その藤子不二雄パロディのような絵柄ともあいまったクールな面白さに衝撃を受けた。

以来、おおひなたごう先生は私のフェイヴァリット漫画家不動の1位であり続けている。(あんまり漫画読む習慣がなくて、ストーリーものを覚えてられないってのもあるけど)

 

さて、そんなごう先生が漫画家業(漫画稼業?)25周年!すごい!というわけで、この『ひなごう!』が刊行されました。もうそんなに経つとは・・すごい。

ベスト盤=既刊作の使い回しではなく、読んだことない話ばっかりで新鮮な面白さ。お得。「アルバム未収録曲を集めたアルバム」ちゅう感じですな。

 

全編通してむっちゃ面白くてまとめられないので、以下雑感

  • 『スーツマン』こんなのも描かれていたとは。「題名遊戯」はTwitterで流行った「文庫川柳」の先駆けっぽい。ちょっと『めだつぶ』の萌芽っぽい要素もあり。
  • 『犬のジュース屋さん』1巻とZ(ぞね)1巻は持ってるけどこれは未読。エテファニー懐かしい。
  • 「一年D組 犬さん先生」作者自身は「失敗」と書かれてるけど、個性強いキャラたちが活躍?してすごいおもろい。この番長ww
  • 『ハマショー!』これハマショー側に怒られるのでは・・wとも思ったが、強い浜省愛があるからたぶん大丈夫でしょう。しかし浜省さんは色んな人に影響与えてるなー、ミスチルとか。凄い。
  • 『おやつ』ちょっと切ないけど、完璧な終わらせ方で、しかも面白い。

 

巻末に「おおひなたごう年譜」が付いてて、これもいちいち小ネタ入ってておもろいのですが、「社会のできごと」が・・・懐かしいやら隔世の感やらで、衝撃でした。

イナバウアートリノ五輪)ってもう10年前?! HG「フォ~!」流行ったの2005年?! 「タマちゃん」2002年?! ちょ、どれも最近のような気がするけど・・・「ワイルドだろぉ」ですら4年前か!!

俺はこの10年何してたのか・・? いや主に仕事してたんやけど、2010年入ってからは特に速い・・・失われた10年かよ・・と。びっくりした。

あと、ダ・ヴィンチ・恐山先生の若さにびびった。2011年当時まだ高校生って・・どんだけ早熟の天才やねん! てっきり30前半ぐらいと思ってた。

目玉焼きの黄身 いつつぶす? 7

2016/8/6、八丁堀の丸善で買い、その裏にある名店シャモニーモンブランにて読了。

相変わらずクソ面白く、店が空いてるのをいいことにケラケラ笑いながら読みました。

やたらセクシーなみふゆ表紙が暗示してるように、「第44話 ソフトクリーム なめる? かむ?」では無駄にエロい描写が多くておもろいw。

よくある焼き鳥のタレvs塩問題では、わりと本格グルメ漫画っぽくもなってる。

  • p.96 それがタレへの償いだ!
  • p.113『恋のひっぱりダコ』←何のドラマやねん!w
  • p.146「中の人」などいないんです!

など随所の小ネタも味わい深い。

 

お話の方も(ほぼ気にせず読んでるけどw)、なんと魑魅魍魎解散! 人気の若手イケメン俳優がどくフラワーのアクターに?! など、激動を見せ始めている。今後の展開から目が離せませんね。

 

ちなみに、各話の末尾にある直筆コラム(後日談的なやつ)の字が、この7巻ではやたら上手いなあと感じたのですが、その理由は同日発売の『ひなごう!』で明らかになる・・・!!

絶対安全剃刀

おおかみこどもの雨と雪』を映画館で観てて、本棚に『黄色い本』がある!と彼女が興奮していた。漫画ほとんど読まないアーティスト肌な人でも読んでるような高野文子さん、蒙昧な私めもやっと読みました。

絶対安全剃刀―高野文子作品集

絶対安全剃刀―高野文子作品集

 

なかなか感想書くのが難しい漫画でした。

絵柄は80年代らしさがある(なんせ「田辺のつる」は私の生まれた1980年1月の作品!)。ただ、ダサさは全然ない。ちょっと山本直樹先生のような細い線で醒めた表情の人物がよく出てくる。

面白いのかよくわからない、幻想的なようであり現実的でもある。よくわからないけど「なんか凄い」、というのは感じました。

 

「いこいの宿」は、純粋にギャグとして面白かった。(これももしかしたら当時の漫画界への批評が込められてるのかもしれんが・・)

「はい-背すじを伸してワタシノバンデス」これに限らず内容が想像つかんタイトルばっかりやけどw、これも良かったなあ。脈々と受け継がれる生命、自分もその当事者であること、への戸惑いと畏敬、みたいな。

しかし、「田辺ノブエ41才」・・当時は41才って十分おばちゃんやったんやな・・

 

つうことで、また他の作品も読んでみよう。

この人はなぜ自分の話ばかりするのか

3連休最後の2016/7/18、図書館に返すため急いで読了。

この人はなぜ自分の話ばかりするのか―こっそり他人の正体を読む法則

この人はなぜ自分の話ばかりするのか―こっそり他人の正体を読む法則

 

原題は reading people「人を読む」、なので邦題はかなり意訳、misleading とさえ言えるかも。「自分の話ばかりする」人のことをもっと読みたかったのだがw、それは何種類もある人間の言動パターンの一例として触れられるに過ぎない。

著者は日本人にはおそらくぴんと来ない「陪審コンサルタント」という職業(陪審員を決めるときのアドバイスとかするらしい)のカリスマ的存在であるらしく、短期間の間に「陪審員候補」たちが発する情報を漏らさず読み取り、重要な人選をしなければならない。その『人読み』の極意を伝授してくれる本。

なのだが、ちょっと長くて散漫な印象を受けてしまった。訳はわりと自然で読みやすいのですが。前半は概論的な話がメインで、後半はけっこう具体例が出てきて面白くなってくる。

要点はいっぱいあるけど、例えば

  • その人の「普段」のパターンから外れた特徴に注意
  • 大きな声や派手な服装など、一見目立つ特徴がどれだけ意味を持つかは、育ち、時代・地域、周りの状況、体調、時間帯などによって変わる。一つ・一時の特徴だけで一概には言えない
  • 職場の机上、自宅、車などはその人をよく表す
  • 客観的に人を判断するのは難しいが、そうできるよう努めよう
  • 話してる内容そのものより、口調、視線、仕草などの非言語的な部分が重要
  • 言葉よりも行動を信用しよう
  • 相手の話をよく聞いてあげよう
  • 店員に横柄な態度を取る奴には注意
  • 直感も大事。要は経験知(データベース)

んん、ま、そらそうやろね…(知ってた…)な話が多い。いや、もしかしたらこの本のおかげで常識になった命題もあるのかもしれないが。

ただまあ、偉大な仕事を成し遂げるには、当たり前のことをさぼらず丁寧にやることが大事、ということなのかもしれんな。

あと、俺も「人間観察」もっとするべきやな、と思いました。ゲーム感覚でもいいので。

 

p.33 母の言葉がわりと名言*1

「お腹が空いている時に買い物しちゃだめよ」

 

*1:この本、全体的に「母」の名言多い

太陽の季節

石原慎太郎。といえば、俺ら30代ぐらいの世代には

老害、マッチョ、ドチンポ野郎、レイシスト、新東京銀行中原昌也氏がボロカス書いてた、

といったネガティヴな印象が強いのではないか?

なんか昔は太陽族なんて流行もあったみたいやけど。都民がなんでそんなに何回も選ぶのか不思議、アホなの?ぐらいに思ってた。

 

しかし、西田藍さん(女神)がお書きになったこの記事を読んで

honcierge.jp

目から鱗というか、ああ彼は人気作家だったのだ(だからこそ芥川賞の選考委員もしてたのだろう*1)、大人たちから恐れられる不遜な若者だったのだ、という当たり前の事実に気づかされた。

作品と人物は別! 食わず嫌いはいかんよ!

 

てことで読んでみました。印税的な理由で図書館で借りて、2016/7/10読了。

太陽の季節 (新潮文庫)

太陽の季節 (新潮文庫)

 

まー酷いw。こら嫌われるわ。

金持ちのクソガキどもが特に悪意も思い入れもなく好き放題やって自滅する話が多い。戦後たった10年でもそんな階級がいたのかということにも驚く。「恐るべきボンボンたち」ちゅう感じ。と思ったら「灰色の教室」冒頭で『怖るべき子供たち』が引用されてたりするので、意識的にそういうのを描きたかったのか。

 

ミソジニーというより、女性をほぼ物として扱ってるような鬼畜男ばかり出てきて、笑っちまうほどだがやはり笑えない。当時の女性は立場弱くてかわいそうやなと思った、避妊も普及してないみたいやし。

大半の話の主人公が「気取った女を、暴力で征服した挙句破滅させる、不敵な男」。もうこの作者病気やろw。いや、「俺はこういう奴だ!」なのか「こういう意識低い奴らの世界を描いたんだ!」なのかはわからんが。両者は混ざってる気もするな。

今なら(今でも?)即炎上→社会的に抹殺されそうな案件ばっかり。ナンパした女子2人のビールに睡眠薬入れて拉致とか。60年前も野蛮やったのね日本。

しかしこの人を知事に選ぶとは、都民、懐広いんかな…とか思ってしまう。 

有名な障子シーンは今読むとむしろ牧歌的なほど。村上龍さんの方がよっぽど露悪的なこと書いてるで! 勝新の米俵に比べたら遥かにソフトモードやし!とも思う。

 

ただやはり、作家としては巧いと思う。二十歳そこらで既に独特の文体を持ってるし、ぐんぐん読ませる、「やるな~」と思う。文庫の解説で奥野健男さんが「こいつぁムカつくけど確かにすごい、新しい、今後に超期待!!」みたいに書いてるのもわかるな。

*1:『乳と卵』くさしてた時はむかついた