武書房

GREEのレビュー機能が終わるので今後はこっちに書きます。

50代からのアイドル入門

東京への往復のnzm56とnzm127で主に読み、2016/5/28読了。

私は50代でもアイドル好きでもない。AKBとかのCD商法は倫理的にも環境負荷的にも嘆かわしいことだと思っている。

とはいえ最近、アイドル業の人に会いに行く活動などもするようになった(ガルむす行っただけですが)。

そしてこの本が出たことを知った。

50代からのアイドル入門

50代からのアイドル入門

 

これは「買ったら負け」な気もしたが、ちょっとそっち方面のことも勉強しといてもいいのかもしれない。なんせ日本SF界の神っぽい人が書いてるんやし・・

結局買ってしまったのは、おそらくこのツイートを見た影響が大きい。言葉の力は偉大!

https://twitter.com/MuGiSan1969/status/707187146726068224

 

以下、中学生並みの感想

  • 大森さんはやはりオタク力が強すぎる。アイドルファン歴2年ほどにして驚愕のDD(←ドルヲタ用語)っぷり。本業と両立できるのがすごい!
  • いまのアイドル業界は百花繚乱、大変な戦国時代。多様性があって良いとも言える。でも市場の大半はごく一部の人気グループが(特殊な商法によって)占めている・・
  • 『流れよわが涙』式の見出しが全編通して続く
  • つんく♂さんは偉大、アーティストとしても商売人としても。対して秋(
  • 憧れのアイドル(道重さゆみ)との握手会で「めちゃくちゃ緊張」したという話にめっちゃ親近感
  • 西田藍さんの名前が4箇所ほど出てきて嬉しい
  • 西田藍さんとの接触エピソードが4箇所ほど出てきて羨ましい

 

巻末の対談で、「アイドルは人生を豊かにする」、とタワレコの嶺脇社長は言った。

たしかにそうかもしれませんね・・てことで、人生を豊かにしてもらいながら、これから憂鬱な仕事も乗り切っていきたい所存です。

いさましいちびのトースター

連休中に読み始めた『SFまで10000光年』で水玉螢之丞さんが名乗っていた「いさましいちびのイラストレーター」。の元ネタを昨日丸善で見かけたので衝動買ってきました。表紙がかわいらしいので本棚にあるといいなとも思って。

いさましいちびのトースター (ハヤカワ文庫SF)

いさましいちびのトースター (ハヤカワ文庫SF)

 

お話はまあ、別荘に取り残された5台の電気器具たちが、主人に再会するために大冒険の旅に出る…という、子供向けの荒唐無稽なもの。

しかし、ところどころ大人向けに書かれてるような一文もあり、ニヤリとさせられる。例えば

p.43

この花は(とヒナギクは思いました)ふしぎなほどわたしに似ているのに、そのくせちっとも似ていない……。えてしてこんなパラドックスが、炎のような恋を生みだすものです。

p.83

わたしたちは、ほかのものがみんなおなじで、自分たちはめいめいちがっている、と考えがちです。

p.112

どんな問題でも、いちばんたしかな解決法は、それについてよく考えること

 

それはそれとして、浅倉久志さんの訳が丁寧で、感銘を受けました。

序文(?)の七五調がすごい!(原文読んでないのでどれほど原意に即してるかはわかりませんが)この訳文作るの苦労したやろな~と思った。

 

ちなみに、実はこのタイトルすら元祖ではなかった。元ネタは『いさましいちびの仕立屋』だそうです。グリム童話か。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%87%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%84%E3%81%A1%E3%81%B3%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%AB%8B%E3%81%A6%E5%B1%8B

深夜プラス1

(一部の)男は「原点」だの「元祖」だのに弱い。 

私もその一人で、大学時代になんかの雑誌(たぶんホットドッグプレスとか)で「ハードボイルドの原点」とか紹介されてたのを見てずっと、読まねば!と思っていたのを2016/5/4やっと読了。

深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))

深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))

 

図書館で借りて序盤で挫折して返したのが嘘のように、ぐんぐん面白く読めた。(当時は翻訳ものを読む脳が発達してなかったのかも)

 

全編通して切れ目ないテンションが凄い。主人公のルイスといいハーヴェイ(次元大介っぽい人)といい、登場人物たちのシブすぎ度が現代の観点からはあり得ないレベル。しかしこういう時代の風情・様式美として読めば味わい深い。

 

最後のどんでん返しで「あ・・これ、ミステリっすか」と気づいた。つい「ハードボイルドもの」みたいに思ってしまってて。びっくりしました。

断片的なものの社会学

Twitterでマスダ先生が絶賛されてたので注文し、ずっと積んでた。2016/5/3読了。

断片的なものの社会学

断片的なものの社会学

 

たしかに非常に面白く、優しい本でした。つい「~への温かいまなざし」とか平仮名で書きたくなってしまうような。いやほんまに、そういう「生きもの(無生物も含む)への敬意」が感じられる本です。

 

社会学」と名付けられてはいるが、小難しいor偉そうな話ではなく、読みやすいエッセイ集という感じ。

もっとこういう本が売れて読まれたらいいと思う。

とはいえ…誰に・どう言って勧めたらいいか、が難しい本やとも思う。読む人は言わなくても読んでそうやし、読まない人はたぶん渡しても読まないのではないか……

 

少なくとも、この本のおかげで私の中では「社会学者」の好感度がぐっと上がりましたw。

水に眠る (文春文庫)

腐っても大型連休。

というわけで、帰省の前後とかを利用して積ん読をごくわずか消化した。2016/4/30読了。

水に眠る (文春文庫)

水に眠る (文春文庫)

 

某ステキおもしろブロガーさんが絶賛されていた北村薫さん、初めて読んだ。

大人向けのお伽噺という感じの短篇集でした。

なに小説というのが難しい、ソフトSFっぽい話もあるけど、「すこしふしぎ」ぐらいの方がしっくり来ると思う。

 

「はるか」ハツラツ女子高生が本屋でバイトする話。いい。

「ものがたり」緊張感のクレッシェンドがすごい。プロの仕事や・・と思った。

 

これらは携帯電話やインターネットが普及する直前に書かれた。

「くらげ」とかは、スマートフォンの普及により、部分的にそれに近い世界が実現してるよなあと思う。

伽藍とバザール

前世紀末に出たオープンソース論の聖典、今更ダラダラ読んでたけどやっと読了。 

伽藍とバザール―オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト

伽藍とバザール―オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト

 

もともとインターネット上に公開されてる文書であるし、この本は既に絶版、なので読むなら2010年に出た新版でも電子書籍でもいいのに、つい「ファースト」を求めてしまう私は20世紀脳なのだろうか。

 

LinuxNetscapeなどの(それ以前は非常識と思われていた)オープンソースプロジェクトが成功した理由を、技術的・経済学的な知見に基づいて分析・解説した、重要で面白い本。Mozilla は戦略的に、意図してオープン化されていたとは。

最近はあのMicrosoftですらオープンソース化を進めてるし(ちょまど先生が宣伝してたXamarinなど)、Win10ではなんとbashまで使えるようになると!いうことで、今後も業界は激変を続けていくんでしょうな。

 

ちなみに著者のエリック・スティーヴン・レイモンドは慣例的にESRと略記されるらしい。ギターのPRSみたい。

この訳は山形さん35歳の頃の仕事。今の俺と同世代……

100年生きてもあの人には遠く及ばないかもしれないが、俺は俺の場所でがんばろう。

僕の小規模な失敗

大型連休に突入する夜、一気読み。 

僕の小規模な失敗

僕の小規模な失敗

 

家にある福満しげゆき先生の作品といえば今までヴィレッジヴァンガードの袋ぐらいしかなかったので、これがほぼ初接触。

なんとなく、自虐ネタや私生活曝け出しネタの人かなというイメージを持ってた。卑屈さを売りにした芸風というか。それは大きく外れてはなかったけど、予想以上に赤裸々かつひどいエピソード群が、夜読むと目が疲れるほどの濃密さで書き込まれてて。むちゃくちゃ面白かった!

「あなた怖いの! もう電話してこないでっ!!」

この台詞は破壊力あったw。しかもなんでそう言われたのか、本人に全然自覚がないというのもすごい。

 

いやー、小規模とか言ってるけど、なかなか波乱万丈、ドラマティックで、色んな努力も苦労もされてきた人なんやなあ。極端に自己評価低くて社会不適応ぶりもすごいけど、驚くほど冷静に自分も他人も観察してたりする。

定時制高校で柔道部作って大会にも出たとか、相当な行動派やんか。ボクシングジムに通ったり、女友達(のちの妻)との電話代が12万にも上ってバイトに精を出したり・・実はかなり男らしいぞ! 羨ましい!

そしてまさか、あの手紙は○○とは・・w。

 

というわけで、他の作品も読んでみよう。

これはもう古本しかなかったので次は新品で買うぞ!